フィアットの野望は成就するか?

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NIKKEI NET(日経ネット):フィアットCEO、オペル買収に意欲 伊紙が報道

欧州自動車大手、伊フィアットのセルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)は、イタリア紙「ラ・スタンパ」のインタビューに応じ、米クライスラーとの提携に続いて米ゼネラル・モーターズ(GM)子会社である独オペルの買収に取り組む考えを表明した。
 
同CEOは同紙に「今、我々はオペルに集中しなければならない。オペルはフィアットにとって完ぺきなパートナーだ」と述べた。オペルの2008年の生産台数は147万台。フィアット―クライスラー連合(415万台)に加えると、計約562万台となり、米フォード・モーターを抜き世界5位になる。オペルの子会社化で欧州の小型車事業を強化し、競合の独フォルクスワーゲン(VW)を追い上げる。

フィアットがオペル「だけに」集中しれば、再建は可能だと思います。 ただ「クライスラーも」となると、限りなく「ミッション・インポッシブル」だと思いますが。

途上国のメーカーじゃあるまいし、なぜに焦ってレガシーを買い漁るのか理解できません。 VWとルノーに勝ちたいから?

自動車産業の産業構造が変わるかもと言われている時代に、重荷になるような買い物ばかりじゃないですか。 クライスラーにしてもオペルにしても、あまりブランド価値が高いとは言えませんし。

asahi.com(朝日新聞社):フィアットはアメリカ嫌い? - 愛車

かくもフィアットの歴史において、アメリカとの関係は複雑な経緯がある。クライスラーとの提携交渉を進めた背景には、フィアットのセルジオ・マルキオンネCEOが、これまでの人生の多くをカナダで過ごした二重国籍保持者であり、従来のフィアット経営者とはまったく違うヒジョンで北米大陸を眺める経営者であることがあろう。
 
いっぽうで、自動車の魅力についてどこまで理解しているのか、未知数だ。ただしハードウェアとして自動車を観察する筆者の視点からすると、不安もかなりある。 (中略)
 
マルキオンネは世界自動車ビジネスの中でも屈指の財務マンだ。筆者の頭の中は、「もしやマルキオンネは、フィアットの乗用車部門をクライスラーと一まとめにし、最終的にどこかのメーカーに売却するのでは?」といった究極の仮説さえ浮かんでくる。

ルノーが日産を再建できたのは、日産に技術的なポテンシャルがあったからです。 どうしようもなくクソだったマネージメントを機能させて、不要な資産を処分することで日産は蘇ることができました。 それでも健康体になるまで数年掛かりましたし、当時開発費を絞ったツケを未だに払い続けています。

果たしてクライスラーとオペルに、それだけのポテンシャルがあるのか? そしてフィアットに両社の再建を担える人材がいるかどうか...

第35回:フィアットCEOは、どんな時でもセーター姿!? そのワケがついに判明!

トロントと米国の大学で学び、会計士と弁護士の資格を取得したマルキオンネは、1983年にカナダの監査法人で社会人生活のスタートを切る。やがて総合マテリアルメーカーに転職。1989年には37歳の若さでこれまた別の会社の副会長になる。
その後、ふたたび前述の総合マテリアルメーカーに戻る。ところが会社はスイス系金属メーカーの傘下入りすることになった。その中でも頭角を現したマルキオンネは、スイスにフィールドを移し、90年代後半から親会社の社長や、同社から分離独立した会社の会長などを歴任する。続いて2002年には検査認証会社の社長となった。
 
ここまで財務畑中心に、どちらかというと地道にキャリアを積んできた彼に、運命の転換が訪れたのは2003年5月、彼が51歳の年だった。故郷イタリアのフィアットに、取締役として請われたのである。
当時のフィアットは経営危機のどん底にあった。マルキオンネがイタリアの雑誌に語ったところによれば、「あの頃のフィアットには死の匂いが漂っていた」という。創業家出身のジョヴァンニ・アニェッリ名誉会長も、その年の1月に失意のうちに世を去ったばかりだった。
 
翌2004年6月、社長に就任した彼は、専門分野の才能をフルに発揮。コアビジネスへの集約を行なういっぽうで、2005年にGMとの提携解消で得た資金をもとに積極的な投資と新車開発を断行した。
おかげで2006年初頭に、フィアットは経営危機脱却宣言を果たした。
ニュースはトリノ五輪と前後したことからたちまちイタリアの奇跡として報じられ、マルキオンネはイタリアのカヴァリエーレ勲章をも受賞するに至った。

フィアットが再建できたといっても、イタリア国内(あるいはEU域内)の話であって、世界市場で成功できている訳ではないです。 特に成長市場である中国やインドでは何もしていませんし。 クライスラーやオペルの買収は、そうした成長市場での成功には繋がりません。

マルキオンネ氏のお手並み拝見といったところです。