いかにも日本的な商慣習

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商慣習の突破法---マツダからの受注 - 機械 - Tech-On!

ご存じの通り,マツダの拠点は広島にある。一方,宇部興産は山口県宇部市が拠点だ。広島県と山口県は隣接しており,この地理的な近さから,ひょっとすると両社は昔から取引があったのだろうと思う人も多いかもしれない。だが,シェフィールド工場が閉鎖されるまで,少なくとも我々機械部門は,1台の機械もマツダに納品していない。言ってみれば,我々とマツダを結び付けてくれたのは,日本から遠く米国に拠点を持つフォード社だったということだ。(中略)
 
その関係ができて,しばらくしたときのことだ。マツダOBのある人から「今までマツダがなぜ,宇部興産の機械を買わなかったか教えましょうか?」と打ち明けられた。私は明確な理由があったのかと思いながらも,興味深く聞いた。その内容はこうだ。
 
昔,我々がまだ子供の頃,「マツダランプ」という名が付いた白熱電球があった。東京芝浦電気(現東芝)の商品名だ。ある時,東芝の社長だった土光敏夫さん(後に経団連会長)が,東洋工業(現マツダ)の松田耕平社長に会い,「松田さん,今後は『マツダランプ』の商標をやめますよ」と伝えてから商標を変更した。実は,マツダランプの「マツダ」は,ゾロアスター教の神である「アフラ・マツダ」が由来だ。従って,自動車メーカーのマツダとは全く関係がないのだが,同じマツダというブランドを使っているのだから,一言断っておこうと土光さんは考えたのかもしれない。いずれにせよ,土光さんのこの気配りに松田社長は非常に恩義を感じ,マツダが使うダイカストマシンは東芝機械か,その前に土光さんが社長を務めたことのある石川島播磨重工業(IHI)から購入していた。だから,宇部興産の機械の見積もりは途中までうまく行くのに,最後でひっくり返った──というのである。
 
これが事実だとすると,我々がマツダと取引することになった初めての商談は,フォード社と住友グループがマツダの経営に参加したことで,松田社長の影響が及ばなかったのが幸いしたということになる。

面白い話ですね。 企業活動は人がやることだから、ビジネスの判断に情が入ることは珍しくないです。 最近は少なくなったと思いますけれども。
でも受注しようと頑張っていた人にとっては、「たったそれだけの理由!?」と愕然としたことでしょうね。