日系大手3社の中で、なぜホンダだけ黒字なのか?

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トヨタにはできなかったホンダLOL戦略の威力 | 企業戦略 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン

インサイトも、5月にトヨタ自動車の新型「プリウス」が発売されると、国内販売1位の座は簡単に取って代わられた。ハイブリッド車の本命市場と目する米国の出足ももたつく。6月までの販売はわずかに7524台。「米国の消費者は極めて合理的に動く。今回のインサイトはガソリン価格1ガロン3ドル以上で4年乗れば元がとれるということで仕込んだが、今のように2ドルではメリットを感じてもらえない」(近藤広一・ホンダ副社長)。米国の販売目標10万台の達成はこのままでは難しい。
 
相変わらず踏ん張る2輪車を除けば、ホンダを取り巻く環境は極めて厳しい。さて、それでもなぜホンダは赤字にならないのか?

LOLって初耳なんですが、なんの略なんでしょうね?

「LOL」とは「ライフタイム・オーナーシップ・ロイヤルティ」の略だそうです。

LOLは00年ごろにホンダ社内で生まれた。「要は、ホンダを買ったお客に次もまたホンダを買ってもらう――つまりは代替率を上げようという取り組み、それがLOL」。近藤副社長は説明する。免許をとってから以後ずっとホンダ一筋でお願いしますというわけだ。
 
「ホンダも昔は極端な話、シビックとアコード、それだけだった。次はピックアップに乗りたいなと思っても、ホンダにない。だから代替率も40%くらいだった」(近藤副社長)。1990年代後半からSUV(スポーツ多目的車)「パイロット」や「アキュラMDX」など商品ラインナップを強化し、「ようやくそういうこと(LOL)が言える環境になった」。

ホンダの国内販売の長年の課題は、既納客の守りきり率が低いことでしたからね。 独身時代はホンダ車に乗っていても、結婚して子供が出来て、会社で昇進してある程度のポストに着いて、となるとトヨタや日産に乗り換えたり、外車へ流れたりというのが常でした。

それでセダンや上級車に取り組んだりしたんですが、うまくいかなかったですね。 オデッセイやCR-V、ステップワゴンのヒットで、ようやくファミリー層への浸透は果たしましたが、いまだに上級セダンでは存在感がありません。 まあ、米国や欧州向けをそのまま持ってきているので、数が出るはずもないのですが。

01年度に比べ、トヨタの販売台数はピークで1・5倍、ホンダは1・4倍に増えた。ところが金融子会社の有利子負債を比べると、ホンダの2・0倍に対してトヨタは3・3倍に膨張した。現金を持たない消費者にもクルマを売れる“打ち出の小づち”販売金融は、米国自動車バブルの片棒を担いだ。それを謳歌したのがビッグスリーでありトヨタだとしたら、最も距離を置いたのがホンダだった。あと数年、急激な市場回復は期待できない。それでもLOL戦略さえ守っていれば、少なくとも既納客を失うことはないだろう。ホンダの真の強みは、その泰然さにある。

クレバーだったのか、チキンだったのかは分かりませんけどね。 結果論ではホンダの手堅さが正しかったということになるんでしょうが。

ホンダは過去、2輪車を武器に数々の新興国を攻めてきた。同時に、急激な経済変動や資金ショートも体験してきた。そこから得た教訓が「新興国では絶対借金しない」。金利が年10%、20%の世界では、金利のために商売をするようになるからだ。「商売がゼロになっても、従業員が2年間食いつないでいけるだけのおカネは貯めていこうと。そういう考えがホンダのベースにある」(近藤副社長)。(中略)
 
ここ数年は1兆円近い営業利益を出す一方で、生産能力不足が顕在化。米インディアナ、寄居(埼玉)、タイ、インドと次々に能力拡大を決め、実行に移し始めていた。
 
ところが、ここからが振るっている。「生産キャパがどうにもタイトになって決めた投資ではあるが、7000億円近い額を2年も3年も続けるのはホンダの歴史にない。だから、経営メンバーの中では決めていた。“何かあったときはすぐ変えられるようにしておこうね”と。中止もありだと。だから寄居延期等の決断は早かった」(近藤副社長)。

こういう時代だと、確かに「変化への対応力こそが競争力」なんでしょうね。
とはいえ、これ以上の円高が進行したときに、どこまで踏ん張れるのか。 本当の実力を試されるのはこれからです。