『反社会学講座』 パオロ マッツァリーノ (著)

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ASCII.jp:「理想の社会」って何それ? スタンダード反社会学な考え方|古田雄介の“顔の見えるインターネット”

「少年犯罪が深刻化している」「フリーターの増加で日本が傾く」――。
 
そんな言葉を耳にしたとき、人は「そんな気がする」と頷いたり、「そんなわけないだろ」と憤ったりと、様々な反応をする。だが、自分でデータを調べて肯定や否定をする人はそういない。だからこそ、綿密な情報収集と論理でそうした「常識」をおちょくり続けるサイト「スタンダード反社会学講座」は、月1ペースの更新でも強烈な存在感を保っている。
 
運営者は、「イタリア生まれのアラフォー戯作家」と自称するパオロ・マッツァリーノ氏。このサイトを皮切りに、「反社会学講座」「つっこみ力」「日本列島プチ改造論」など数々の著書を発表。様々な「世間でなんとなく信じられていること」をユーモアたっぷりに切り捨てている。ただし、その素性は謎に包まれたままだ。

この記事に興味をもって、買ってみましたよ、『反社会学講座』(ただし中古で)。

読後の感想としては、よくデータを調べてあって時間つぶしに読むには面白い本だけど、「で?」っていう。

文体としてはフェルディナンド・ヤマグチみたいな感じで、頭のいい人特有の人をイラつかせるギリギリのところ。

それはいいとしても物足りないと感じる理由は、巷に流布する言説に対して「そんなことはない」とデータを用いて反論しているのですが、「じゃあ、どうなの?」と問うても新しい説は何も載っていないからだと思います。
まあ、何らかの答えを書いてしまうと、それ自体が「社会学」になってしまいますから、仕方ないんでしょうが。

―― 反社会学講座についてもうひとつ思ったのが、「今こんな由々しき事態に陥っている」という説に対して、「別に昔から変わらないよ」とツッコむケースが多い点です。実際、変わっていないものですかね。
 
パオロ 調べてみると、そういう場合が多いですよね。たとえば、10年くらい前にフリーターが問題になっていたけど、昔はどうだったか調べてみて、江戸時代にもフリーターがたくさんいたことが分かったり。あと、最近はネットの匿名性がなんだで炎上が多いという話もありますけど、3~40年前は、直接その人の家の窓に石を投げ込む人がたくさんいたわけですよ。その手法がネットに変わっただけだと思います。まあ、炎上の対象が見つかりやすくなったというのはあるでしょうけど。
 
だから、道具の流行りすたりはあれど、基本的にやってることは同じですよね。最近の若い奴も昔の若い奴も。

江戸時代には、正社員も定期採用もなければ、そもそも現在の学校にあたるものだってなかったのですから、「フリーターがたくさんいた」と言われてもね。

「やってることは同じ」と言っても、窓に石を投げ込むのと炎上や電凸は規模が違いますからね。 量的拡大は質的変化を生むわけで。


ただこういう本に意味が無いとは思わないので、マスコミなどの煽りを真に受けやすい人は、一読しても損はないと思います。 本を買う必要はなくて、マッツァリーノ氏のサイト「スタンダード反社会学講座」で読めばいいでしょう。

反社会学講座 (ちくま文庫)
パオロ マッツァリーノ
筑摩書房
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おすすめ度の平均: 4.5
4 今の社会が以前と比べて悪くなったと嘆く前に一読を
5 若者世代の必読書
5 私のレビューの種本みたいなもんですw
5 最近の若い者は! と、少年犯罪が増えている?
3 期待の5割