DCTのクラッチは、毎分5~10回転(あえて)滑っている

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連載「パワートレーン大競奏 自動変速機編」(7)ギリギリの追求|GAZOO.com

理論上の効率に優れるDCTではあるが、実際に高い効率を確保するためにはさまざまな工夫が必要だった。DCTは基本構造はMTとは同じではある。ただ、オイルポンプを追加して変速およびクラッチ制御に必要な油圧を確保しておりエンジン負荷が高まる。単体の効率はどうしてもMTを下回ってしまう。
 
そのロスをどこまで軽減できるのかが大きな課題となった。上手くできなければ協調制御を生かしてMT車を上回る燃費を確保するどころか、他のAT車に対する効率のアドバンテージを失いかねない。
 
ボルグワーナーは、油圧ロスを削減するためさまざまな制御手法を見直した。その努力によって確立した制御の代表例は、クラッチをエンジンに押し付ける力を最小限で済ませる「マイクロスリップ」である。エンジンとクラッチの間に毎分5~10回転という非常に僅かな滑りをあえて生じさせるように監視しながら、クラッチの圧力を調整する。
 
滑りが起きないように強い力で押さえつけると大きな油圧が必要になりエンジンの負荷が増える。また、弱い力にすると滑りが大きくなり効率が悪化する。
 
マイクロスリップによってギリギリまで油圧を弱めることが可能になった。さらに電磁弁の構造を変更し、より小さいポンプで必要な油圧を確保できるようにするなど、着々と改善を進めている。

だったら油圧を使わずに電気だけで制御できないのか?と誰もが考えるよね。 おそらく3年くらいのうちに、そんな変速機が実用化されるだろうね。