「AXAMへの優先株割り当ては英会社法違反」 オリンパス元社長が指摘

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優先株割り当て、英法違反 オリンパス元社長が指摘 (フジサンケイ ビジネスアイ) - Yahoo!ニュース

オリンパスが2008年に買収した英医療機器メーカー「ジャイラス」の買収をめぐり、解任された英国人元社長のマイケル・ウッドフォード氏が、助言会社への優先株割り当てが英国の会社法に違反していると指摘していることが、フジサンケイビジネスアイが入手した内部資料で26日、明らかになった。英社の買収をめぐる資金の流れなどの真相解明を進めている英重大不正取締局(SFO)も関心を寄せているとみられる。(中略)
 
最終的には、オリンパスが09年3月までに、AXAMが保有するジャイラスの優先株を425億円で買い戻したが、内部資料は一連の取引が「英国法で違法行為にあたる可能性がある」と指摘している。
 
さらに内部資料では、当初はオリンパスは助言会社に対して新株予約権を与える契約になっていたが、ジャイラスが上場会社でなくなったため、代わりにジャイラスの優先株を発行して助言会社に割り当てることになったことも判明。その際、米の大手会計事務所が「現金で支払う方がクリーンな対応方法」と進言したが、オリンパス側は新たな税負担が生じることなどを考慮して、優先株発行を進めたという。

英米の当局の関心は、その辺りなのかもしれませんね。
そこを取っ掛かりに粉飾決算の有無まで捜査できればいいのですが。

ファイナンシャルタイムズ紙が、菊川前社長が社内に配信したメモを取り上げています。

[FT]投資家を顧みないオリンパス会長の酷評メモ  :日本経済新聞

日本の光学機器メーカー、オリンパスの会長は10月25日、社員向けに配信された驚くべき酷評文で、解任された英国人前社長兼最高経営責任者(CEO)はちょっとした支配魔だと非難した。
 
菊川剛氏は、10月14日に解任されたマイケル・ウッドフォード氏は欧州法人社長だった時、文房具の購入についても直接的な権限を持とうとしたと述べた。
 
「1円でも、自分が把握していないと不安になるのでしょう」。菊川氏は社内専用ウェブサイトに掲載された長いメモで、こう書いている。「Pay Attention To The Detailの心意気や、よし。しかし、オリンパスは連結で8000億円を越す売上高のある企業です」
 
オリンパスの株主は言うまでもなく、菊川氏にとって問題は、ウッドフォード氏が自身の解任につながったと考えている案件には、1円どころではない大金が絡んでいることだ。(中略)
 
しかし、きつい言葉を使った菊川氏のメモは、買収に関する追加説明ではなく、うんざりするような人身攻撃と呼べそうなものだ。菊川氏はウッドフォード氏の欠点とされる要素に焦点を戻そうとした。菊川氏いわく、感情を抑制できない、指揮命令系統に配慮しない、プライベートジェットを過度に使うといった欠点だ。
 
菊川氏は「当社にやましいことなど一切ありません」と主張したうえで、少なくとも、この説明では社員に多くの疑問が残るだろうと認めたが、週刊誌の漫画にふさわしいような続きが気になる結びで、説明は次回まで待たねばならないと述べている。

ブルームバーグも入手したようです。

オリンパス菊川氏:前社長は「常軌逸した行動」-社内文書で批判 - Bloomberg

10月25日(ブルームバーグ):マイケル・ウッドフォード前社長の解任で表面化したオリンパスによる買収報酬の支払い問題で、菊川剛会長兼社長が24日に社内向けに経緯を説明する文書を発信し、前社長の「常軌を逸した行動が止まらない」と批判した。焦点である英ジャイラスなどの買収に関しては、次回に説明するとして触れていない。
 
文書はブルームバーグ・ニュースが24日に入手した。菊川氏は冒頭で、ウッドフォード氏が解任後に行った「社内の機密情報を外部に流出させる振る舞いは、オリンパスの社会的信用をおとしめることが狙いのように見える」として「許し難い行為」だと述べている。
 
さらに、グローバル企業に脱皮するためウッドフォード氏を社長に抜てきしたものの、就任後に「忠誠を誓った参謀や部下だけ」を使い「邪魔だと感じた人物を次々と排除していく」手法を取ったと批判。機関投資家との会合で経営は「自分のギャングを使って、やる」と発言した、などとしている。
 
文書はさらにウッドフォード氏が、ジャイラス買収問題を取り上げた雑誌「FACTA」8月号の記事を活用し、菊川氏らを追及する準備を開始したと説明。かつて社長を務めていた企業の監査法人で「大のお得意様」であるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)に「私や森(久志)副社長を悪人に仕立てたリポート」を作成させ、解任前日の13日に「私や森副社長に辞任を迫った」としている。

そんなに言いたいことがあるなら、辞任会見すればよかったのにね。


ウッドフォード元社長も応酬します。

ウッドフォード元社長の書簡要旨 「悲惨な誤り…お粗末な判断力」 (フジサンケイ ビジネスアイ) - Yahoo!ニュース

◆9月26日付菊川氏あて書簡
 
(疑惑についての質問に対し、会社側から)私がいただいた回答は表面的であり、同時に、いつもどおり丁重でありながら、どこかあいまいで言い逃れのように感じられました。この時点では、私は何も書面ではいただいておりませんし、「第三者による調査」に関する言及もなく、もしあなたが、私が満足するだろうと感じておられるならば、絶対にそんなことはありません。
 
FACTA(疑惑を最初に報じた月刊誌)の記事で取り上げられた問題と疑惑は最も深刻なたぐいのものです。
 
昨日申し上げましたように、明日の日本の営業時間終了時までに、要求した情報が私に届き、かつ、回答が、コーポレート・ガバナンスに対する重大な違反の恐れがあるという私の懸念を和らげるものであれば、私は明日、東京に戻る用意があります。しかし、もし情報が入手できなかったり、内容の点で満足のいくものでなければ、私は戻りません。
 
その場合、私は自分が正しく適切だと考える行動を起こし、さまざまな取引について適切な調査を実施します。お気づきかと思いますが、ガバナンスの問題において、あるいは内部告発の意味で、私には多くのオプションがあり、私は不正が発生したと考える場合に異議申し立てをすることや、警察や関連当局に通報することを決して恐れません。
 
 
◆10月11日付菊川氏あて書簡
 
ジャイラス買収に関するPwCの報告書に明らかなとおり、非常に多くの悲惨な誤り、そして並外れてお粗末な判断力が重なって、ショッキングな額に上る株主への損失が生じました。これは、ロンドンの悪質トレーダーによって起きた近年のUBSのスキャンダルと似通っています。私の見解では、ジャイラスをはじめ実質的に価値のない企業を買収したという問題は、オリンパスの下級職員ではなく、最高級管理職員によって執り行われたことから、さらに悪い事態だといえます。
 
上場企業であるオリンパスがケイマン諸島の会社に7億米ドルものたびかさなる支払いを行い、さらにこの会社を究極的に誰が所有しているか当社にはいまだに不明であるという事態は、まさに途方もない話で、事実を日本および世界の株主の知るところになれば、当社へのダメージは計り知れないでしょう。
 
会社の利益を優先し、名誉ある前途を歩むためには、いかなる局面から考慮しても恥ずべき事件であるこれまでの結果に、あなた方は直面すべきです。もはや擁護できない事態であることは明白であり、これから前向きに進む上で、あなた方が役員会から辞任することが必要です。もし、あなた方に辞任の意思がないということであれば、当社のガバナンスに関して私が持つ基本的な懸念を、しかるべき団体に提起することとなります。

ウッドフォード氏を社長に起用したときに、こういう事態になることを予測するべきでしたね。