サブプライムローンはフグの肝?

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国家金融資本主義の限界~錬金術はありえない:日経ビジネスオンライン

そもそもアメリカとヨーロッパが国家の信用すら揺らいでしまうほどに財政を拡大せざるを得なくなった発端はリーマンショックにある。リーマンショックによって世界経済が収縮し大不況に陥ったため、各国はこぞって金融を大幅に緩和し財政の大盤振舞いをやった。これはこれで不況対策としては正しい。しかし、金融緩和と財政の大盤振舞いの程度が、自国の実体経済の実力と照らして、健全な水準を超えてしまったことが問題なのである。
 
実体的な経済力を超えた信用を“錬金術的に”創造してしまったという点でリーマンショックと同じである。リーマンショックの発端はサブプライムローンの大量供給であった。本来の稼ぎではとても払い切れないような住宅ローンを多数の低所得者層に貸しつけた上で、リスクが目立たなくなるように、そのローンを証券化によってバラバラに分解し、他の金融商品に混ぜ込んで金融市場に流通させた。フグの肝を細かくして鍋や煮こごりに混ぜるのと同じである。サブプライムローンは優良ローンと比べると相対的に金利が高いため、切り刻んだサブプライムローンの破片が入った金融商品は、金利を多少高く設定にすることができる。従って、飛ぶように売れた。フグの肝を混ぜるとコクが出て鍋が旨くなるようなものであろう。

東国原・元宮崎県知事は「無毒のフグ肝もある」とか言ってますが、真似してはダメですよ。

毒を食らわば皿どころか鍋まで食った結果がリーマン・ショックです。

このメカニズムから明らかなように、リーマンショックのそもそもの原因は、貸してはいけない人に限度を超えて貸してしまった単純な事実にある。様々な金融技術を駆使してリスクを分散しヘッジをかけても、ローンの根っこのところで“実力を超えた”信用を供与してしまうと、その金融商品はどうしても不健全なものにならざるを得ない。この原則の前では、どのような高度な金融技術も、しょせんは小手先のテクニックでしかなく、無力なのである。
 
100年に一度という修飾がついたほどの大ショックによって各国政府は学習をした。ヘッジファンドや投資銀行に対して、過度な信用膨張を創り出させないようレバレッジ規制をかけたり、保有する金融商品の開示と報告を義務づけたりしたのがそれである。
 
しかし各国政府は、金融機関やファンドに対して課した規制のタガを、自らに対しては外してしまった。「リーマンショック後の不況から国内の産業を守るため」「国民経済をいち早く回復させるため」という大義名分の下、民間金融が収縮した分を政府が大盤振舞いしたわけである。国家の信用力の大きさはもちろんサブプライムローンの借り手である低所得層とは比べるまでもない。国家の信用は民間の経済主体である企業や銀行やファンドよりも当然大きく安定したものである。ソブリン=「最高の」と呼ばれる由縁である。(中略)
 
つまり、極めてシンプルな経済原則――実体経済の身の程をわきまえない信用の創造・供与は早晩破綻する――の前に、金融技術という武器を手にした金融機関と政府が敗退した。これが、2008年のリーマンショック及び2011年のソブリンのオーバークレディットショックだと理解することができるのである。

本来なら、「100年に一度の経済危機」が来たあとは、「100年に一度の大不況」に突入するべきだったのです。
それを中央銀行が力づくで穴埋めしたので、そのツケが回ってきたということなんでしょう。

日本はバブル崩壊後に長いトンネルに入りました。 護送船団から脱落した金融機関もありましたが、時間をかけてソフトランディングしたのです。
当時は不良債権処理が「手ぬるい」と批判も多かったですが、今から考えるとああするより仕方なかったのかなと思います。

アメリカがリーマンショック後、QE1、QE2などの大幅な金融緩和政策を打ち出すまで、「日本でも大胆なリフレ政策(例えば、日銀がどんどんお札を刷って市中に供給するとか)さえやれば、デフレから容易に脱却でき、経済は成長軌道に乗る」と主張する向きが多かった。しかし、こうした考え方はまさにバブル政策論であろう(さすがにQE2後の米国債デフォルト危機やヨーロッパのユーロ危機が発生した後は、こうした強硬なリフレ政策論は勢いを失ったようだ)。

デフレ脱却じゃなくて、円高対策のためにお金を刷ってほしいです。