「30年以内に98%」と「4年以内に70%」は同じ

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風知草:首都地震、不安と油断=山田孝男 - 毎日jp(毎日新聞)

先週、首都圏住民をギョッとさせたニュースは増税より石原新党より、「M(マグニチュード)7級の首都地震、4年以内に70%」だった。
 
それも天下の東大地震研究所の試算だというので騒ぎになった。思い切った発表をしたものですね、と平田直(なおし)教授(57)=地震予知研究センター長=に聞きに行って初めて知ったが、発表ではなかった。このてんまつは興味深い--。
 
初報は読売新聞23日朝刊だった。1面で「首都直下型/4年内70%/M7級/東大地震研試算」と特報した(東京本社最終版)。日経、東京、毎日が夕刊で追い、朝日と産経は24日朝刊で伝えた。各紙とも見出しは読売と同じである。
 
テレビは報道部門だけでなく、各局ごとにいくつもある情報番組が一斉に反応した。オールマスコミの怒とうの攻勢に音を上げた地震研が、ホームページ上に読売報道の背景解説のための特設サイトを立ち上げたというのが実情だった。
 
しかも、地震研の研究チームのこの見解は昨秋、公開の研究発表会で報告され、報道もされている。そう聞いて毎日新聞の縮刷版にあたると、はたして9月17日朝刊3面に「首都圏直下/M7級/30年で98%」という記事があった。

スクープでもなんでもなくて、各社とも報道済みだったというのが笑えます。

それだけ読売の煽りが効果的だったということでしょう。 先週末は有感地震がありましたしね。

平田によれば、「30年以内に98%」と「4年以内に70%」は同じである。だが、人間、30年ならまだ先と侮り、4年と聞けば驚く。読売は公表ずみのデータを鋭角的に再構成し、「4年以内」を強調したことで反響を呼び、他のマスコミも追随せざるを得なかった。(中略)
 
地震予知と報道の呼吸は微妙だ。大森・今村論争を意識したかと聞くと、平田は「そんな大それた話じゃない」と苦笑しつつ、こう言った。
 
「マグニチュード7のエネルギーは東日本大震災(M9)の1000分の1ですよ。首都直下と予測したわけでもない。誤解を招きやすい報道でしたけれども、関東地方の油断に警鐘を鳴らす意義はあった。大地震の発生確率は前より高まっており、備えは大事です」

「4年以内に70%」でもし何事も起こらなかったら、残りの26年間の確率はいくらになるんだろうか? あるいはその次の4年間の確率は? よくわかりません。

「人工衛星が人に当たる確率」と同じで、心配し過ぎても仕方ないと思うけど、それなりのリスクがあるということは覚悟しておくべきでしょうね。