日本を見切って一番返り血を浴びるのはトヨタ

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アングル:トヨタが収益性で劣勢続く、国内の事業環境悪化で (ロイター) - Yahoo!ニュース

トヨタは国内生産300万台を死守する姿勢を崩していない。決算会見の会場で伊地知隆彦取締役専務執行役員は記者団に対し、「ランドクルーザー」といった少量生産車種や「レクサス」などの高級車、環境車など国内で生産した方が効率的な車があり、そういう車種を積み重ねた上での300万台なので「経済合理性はある」と説明した。
 
ただ、メリルリンチ日本証券の中西氏は、トヨタは日本を固守していかなければならないため「籠城しながら国内を徹底的に強化するという決断をした」とみる。円安への揺り戻しがあればトヨタの競争力は急速に回復するものの、足元では円高基調が続いている。
 
その中でもトヨタは12年3月期の連結営業利益予想を2700億円とし、従来の2000億円から上方修正した。伊地知専務は「経営基盤の強化に手ごたえを感じている」と述べたが、アドバンスト・リサーチ・ジャパンのマネージングディレクター、遠藤功治氏の見方は「生産能力、従業員、販売会社、販売車種の数など全部あまりにもまだ多い。会社が言っているようなコスト削減の効果が数字には今のところ全然出ていない」と厳しい。

国内基盤に圧倒的な強さがある事自体は、もちろん良いことです。

でもトヨタの国内販売台数は、2004年の173.9台をピークに(補助金効果の2010年を除いて)毎年減り続けて、昨年は117.8万台でした。 実力値としては135万台程度でしょう。
もちろん震災など一過性の要因もあるのですが、新車市場が縮小する影響をモロに受けている格好です。
それに対して国内生産300万台はオーバーキャパシティーと言われても仕方ありません。

クレディ・スイス証券のマネージングディレクター、塩原邦彦氏は、トヨタの構造的な問題として、円建てコストのウエートの高さを指摘する。円建てコストのウエートが高いほど円高の影響を受けるが、クレディ・スイス証券の試算によると、日産自動車47%、ホンダ39%に対して、トヨタが62%と大手3社の中で最も大きいという。
 
トヨタは国内に生産基盤を残しながら円高に対応していく考えで、エンジンやトランスミッションなど基幹部品の現地生産化や、日本から海外に支給している材料の現地調達などを徐々に増やしていく考え。取引は円建てから現地通貨建てに変わり、為替の影響を受けにくくなるものの、部品の設計変更なども必要となる。これを実現していくには一定の時間がかかりそうだ。
 
また、アドバンスト・リサーチ・ジャパンの遠藤氏が指摘したように、国内では販売車種の見直しや販売会社の再編なども課題となる。トヨタは売れ筋以外にも多くの販売車種をもつが、根本には販売店の経営維持の問題がある。トヨタには「トヨタ店」「トヨペット店」「ネッツ店」「カローラ店」など複数の販売チャネルがあり、それぞれ専売できるモデルを必要としてきた。これら販売店のほとんどが地場資本であり、販売エリアが重複していてもトヨタの指示で再編できない状況にある。

昨年は市場規模が縮んでいない軽自動車に、自社ブランドで参入しましたが、笛吹けど販売店は売る気がないようです。
ホンダのようにスモール専売店に衣替えするか、ネッツ店をチャネルごとスモールに特化させないとダメなんじゃないでしょうか。


トヨタ、営業利益「来期1兆円」への執念 :記者の目 :企業 :マーケット :日本経済新聞

数年後に振り返って、「あれが転換点だった」という日がある。トヨタ自動車が1月20日に開いた経営会議はそんな節目になるかもしれない。
 
同日、豊田章男社長は幹部に檄(げき)を飛ばした。「私は数字で引っ張らない」との持論を述べた上で、「だが、あなたたちが数字にこだわらなくてどうするのか」と続けたという。「あんな社長を見るのは初めてだ」との驚きが社内に広がった。
 
トヨタは2011年、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)に世界販売台数で抜かれ、前年の首位から3位に転落した。豊田社長が語気を強めたのは、そんな事実に対してではない。巨大企業の幹部たちに、現場指揮官としての役割を果たすように求めたとみられる。

豊田社長からすれば「おまえらがヌルいこと言ってどないすんじゃ、ボケ! なめとったら承知せんぞ!!」と言いたい気分だったのでしょう。

ところで営業利益1兆円ですが、

ざっと計算してみよう。12年3月期に震災は1600億円、タイ洪水は1100億円の営業減益要因になる。来期はこうしたマイナス材料がなくなる。これとは別に原価低減や価格改定などの取り組みも「連結で3000億円を引き出す実力はある」(幹部)。これらを合計すると、今期の予想営業利益(2700億円)に対して6000億円弱の増益幅が期待できる。アナリストの業績予想の平均値であるQUICKコンセンサスをみると、6日時点で来期の営業利益予想が8000億円強で、違和感はない。
 
プラス要素はまだある。販売台数の大幅な増加だ。トヨタは12年の暦年ベースで、ダイハツ工業と日野自動車を合わせたグループ全体で過去最高となる958万台の世界販売を計画している。決算期ベースでみても、13年3月期の販売台数は過去最高だった08年3月期を上回る公算が大きい。(中略)
 
トヨタの執念が実って来期に連結営業利益1兆円を回復したとしても、スタートラインに立ったにすぎない。11年3月に公表した「グローバルビジョン」で示した「連結営業利益1兆円の早期実現」は事実上の“公約”だからだ。
 
別の事情もある。格付け会社は、トヨタのようなグローバル製造業にAA(ダブルA)程度の高格付けを付与するための最低ラインを「営業利益率5%の安定確保」に設定しているとの見方もある。国内外の格付け会社から格下げされたのも「5%」の回復時期が見極めにくいためだ。世界で激突するVWや韓国・現代自動車をトヨタが突き放すためにも「財務力」の強さは欠かせない。今後予想される長期戦を展望しても、利益率5%は必要条件といえる。

売上高からみても、ホンダの倍くらい利益がないとおかしい訳で、台数が回復すれば1兆円程度は当たり前だと思います。

ところで

悲観派の論拠のひとつが、トヨタが掲げる「国内生産300万台の死守」。「国内にこだわっていては超円高対策として迫力に欠ける」(米系証券のアナリスト)と市場の評判は芳しくなかった。大抵の場合、「それに比べて日産自動車は着実に手を打っているのに……」といった声とセットだった。
 
だが、トヨタは今のやり方を墨守しようというのではない。この大方針は、強いていえば「国内の車両組み立て“だけ”は300万台を維持する」と読み替えるべきだろう。それ以外は何でもやるということだ。
 
トヨタの“覚悟”を肌で感じているのが部品メーカーだ。例えばエンジン生産。国内生産は全体で450万基規模とされ、車両組み立てよりも多い。トヨタはすでにエンジンの海外現地生産を進めると表明しているが、あるサプライヤー首脳は「今年だけで数十万基分が海外移転してもおかしくない。想定以上のスピードだ」と話す。

この部分はロイターの記事に対するアンサー記事みたいで面白いですね。