ミラージュの「誤算」は「想定内」?

三菱自動車「ミラージュ」の誤算 (東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース BUSINESS

ミラージュが発売されるまで、三菱自の国内販売網には「アイミーブ」や商用の「ミニキャブ・ミーブ」といった電気自動車(EV)を除き、独自開発の新型車が長らく投入されていなかった。その期間は2年半にも及んでいた。(中略)
 
自動車会社にとって、新型車の存在はそのモデルそのものを販売するということだけでなく、販売店に客を呼び込むカンフル剤にもなる。それだけにミラージュには、三菱自の国内販売網に大きな期待があった。三菱自は12年10月時点で、12年度の国内登録車(軽自動車を除く)販売を7.7万台と計画。ミラージュは発売時点で12年度目標を3万台に定めていたことから、国内登録車販売の約4割を占める算段だったはずである。(中略)
 
発売開始から12年12月までの約4カ月間の累計登録台数は1.3万台程度。単純に平均すると月販3300台ぐらいだ。発売時点における13年3月末までの販売目標3万台を達成するには、残る3カ月を月販5600台以上のペースで推移しなければならない。

三菱自としては珍しくCMにお金を掛けましたが、ミラージュが売れないのは決して唐沢店長と本仮屋君が悪いわけではありません。 彼らは精いっぱい頑張ってくれています。

演出は最悪ですけどね。 「乗ってミラージュ」はないでしょw
で、乗ったら最近の軽より安っぽかったというオチだし。

7ヶ月で3万台の計画ということは、単純に平均すると4,285台/月ということになります。
販売開始から最初の1ヶ月で、目標の2~3倍の受注が当たり前ですが、最初の月が4,483台、翌月が3,054台では(エコカー補助金終了など悪条件があったとはいえ)どうしようもないですね。

ミラージュはなぜ苦戦しているのか。その理由は、「先進国における環境対応車」と「新興国におけるエントリーカー」という二足のわらじを履かせようとした点にある。(中略)
 
日本のような先進国で環境対応というコンセプトは今や当たり前の時代。HVだけでなく軽自動車でも燃費性能が30km/リットルを超えるモデルもあり、燃費性能では勝負できず、単なる安さだけでは武器にならない。
 
そもそも、三菱自にとってミラージュは、国内市場でのヒットを至上命題とはしていない。日本に先駆けて12年3月にタイで販売を開始。東南アジア諸国やオーストラリア、欧州など世界150カ国程度まで販売地域を広げる計画だ。日本市場はそのうちの一つに過ぎない。(中略)
 
目の肥えた日本の消費者向けに新車を開発すると、「まずはとにかく安い車でもいいから欲しい」新興国の需要になじまない場合がある。三菱自はミラージュの開発の力点をあくまで新興国に置いた。三菱自にとってはむしろ、リコール隠し問題をはじめ、過去の相次ぐ不祥事をきっかけにブランド力が低下したうえ、世界にも通用する強豪がひしめく日本で真っ向勝負するよりも、新興国を開拓したほうが合理的という判断なのだろう。

「日本じゃ売れない」というのは、分かった上で企画したんだろうと思います。 メインマーケットの東南アジアでは好調みたいだし。

ただメーカーはそれでもいいかもしれないけど、販売店はたまったもんじゃないですよね。

「逆輸入車」に賭けた三菱の誤算:日経ビジネスオンライン

だが、決算会見で黒井常務は「私たちの販売力に問題もあるが、国内総需要が伸びていないことが大きい」などと敗因分析に終始した。巻き返しどころか、諦めムードすら感じさせた。
 
日本の自動車メーカーが超円高時代を生き抜く切り札として、一時は注目された逆輸入車。ミラージュはその代表選手だ。誤算の1つは予想以上に国内製の軽自動車の需要が強いこと。もう1つが急速な円高修正だ。(中略)
 
日産は軽自動車を自社では開発も生産もしていない。マーチは軽自動車対抗の戦略的な車種でもあった。ところがマーチの国内販売(上のグラフ)を見ると、エコカー補助金の追い風を受けていた期間中ですら伸び悩んでいたことが分かる。2012年のマーチ販売台数は3万9694台と、前年比21%減。日産の片桐隆夫副社長が「客の需要が軽自動車にシフトし、国内で思うように販売できなかった」と認めるように、三菱自同様、競争力で軽自動車を上回れなかったことが影を落としている。

逆輸入の「負け組」である日産と三菱自が軽事業で手を組んでいるというのが面白いですよね。

そこへきて、今回のアベノミクスによる円高修正だ。このままだと、円高が続くことを前提とした販売価格では、いつ採算割れになってもおかしくないが、今の販売環境では、値上げするのは難しい。三菱自にとって、本来ならば採算性が良いはずの逆輸入車が、収益の負担に転じる可能性が出ている。とりわけ、タイで生産していることが問題を深刻にしている。
 
上のグラフにあるように、円はタイの通貨バーツに対して、ドルを上回る勢いで安くなっている。ミラージュを発売した昨年8月と比べると、足元でバーツは円に対して20%以上高い。部品の大半は現地調達なので、バーツ高は三菱自の収益を直撃する。

海外から逆KDで輸入している部品なんかも大変でしょうね。