中国の「防空識別圏」の何が問題か?

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中国にとって「藪蛇」となったお粗末な「防空識別圏」の設定|田岡俊次の戦略目からウロコ|ダイヤモンド・オンライン

日本が出しているAIP(Aeronautical Information Publication「航空路誌」)では日本語と英語で「国外から日本の領域に至る飛行を行う場合」(つまり日本に着陸しようとするか、日本領空を通って他国に向かう場合)にのみ飛行計画の事前通知を求め、それと異なる飛行をする場合には自衛隊のレーダーサイトに通報するよう求め、通信の方法を示している。英語では「リクエスト」(要望)という単語、日本語では「されたい」とお願いする姿勢で、飛行計画と照合しての身元確認ができない航空機に対しては『要撃機による目視確認を行うことがある』としている。レーダーに映る多数の飛行機のうち、飛行計画と合致するものは監視対象から外し、出ていない少数の物だけを見張り、怪しければ戦闘機を出せばよいから、協力してもらうと防空部隊は大助かりだ。
 
だが、中国が今回出したADIZ設定に伴う「航空情報」(NOTAM,Notice to Airmen)は日本のものとは大違いだ。中国領空に向かう航空機だけでなく、中国ADIZを通る全ての航空機に対し、飛行計画を通知し、ADIZ内では常に双方向の無線交信を保ち、トランスポンダー(レーダーに識別信号を送る装置)を働かせ、国籍・所属を明瞭に示す標識を付け、ADIZを管轄する機関(中国空軍)の指示に従うことを義務付け、「中国軍は識別に協力せず、あるいは指示に従わない航空機に対し、防衛的緊急措置を取る」としている。用語も日本はRequest(要請する)だが、中国はmust、should(しなければならない)と命令口調だ。

「防空識別圏」の運用方法が問題であるということです。 だから「撤回せよ」と言ったって埒があかない訳で、「国際標準の運用に変更してね」というべきなんでしょう。