原油価格下落で泣く国、笑う国

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[FT]原油価格下落を静観するサウジの深遠な思惑  :日本経済新聞

サウジアラビアが新たに原油価格戦争を仕掛け、関係がぎくしゃくしている米国に対して周到に計算された賭けに打って出ている。米シェール業界に打撃を与えつつも、同国政府に地政学的恩恵や経済的利益をもたらすことで埋め合わせできると踏んでいる。
 
米国とサウジがイラクとシリアでの戦いで手を携えるなか、サウジは原油市場での自らの重要な役割を主張し、立ち上がったばかりの米シェール業界の資金調達を巧妙に絞るという大胆な手段をとっている。それでも、原油価格の下落は米消費者にとって事実上の減税となり、低価格が続けば米政府が圧力をかけるロシアとイランへ打撃が及ぶ。
 
米カーネギー財団エネルギー・気候部門のデボラ・ゴードン氏は、サウジの原油価格への圧力は慎重に計算された動きで、ロシアやイランなどのライバル国や敵国にとって問題になると指摘する。「サウジはこれが事態を一変させると結論づけたようだ。望まない相手に打撃を与えずに恩恵を得るからだ」と話す。

ガソリン安くなりましたね。 近くのセルフでは149円/Lというところも出ています。

今回の原油価格下落は、米国の量的緩和終了による資金の引き上げや、欧州など景気不振による需要鈍化予測による影響もありますが、ロシアとイスラム国への経済制裁の側面も強いと思います。

一方で、原油価格が下がるとシェールオイルの採算分岐点を下回る可能性もあり、米国にとっては痛手です。 サウジとしては米国に協力するけれども、一方でシェールオイルを牽制できるというメリットもある訳ですね。

[FT]イラク、「イスラム国」との戦いに財政難  :日本経済新聞

イラク中央政府の当局者や国際機関のスタッフ、エコノミストらによれば、イラクには財政危機が忍び寄っており、領内を広く破壊しているイスラム主義者の反政府勢力との戦いに支障が生じる恐れがある。
 
多額の石油収入があり、準備金や未完のプロジェクトの剰余金も数十億ドルに達するにもかかわらず、観測筋によればイラクの国家財政は混乱しており、憂慮すべき状況にある。その理由は前首相のヌリ・アル・マリキ政権時代末期の遺産と石油価格の下落だという。

イスラム国の収入が下がるということは、イラクなど中東産油国の収入も下がる訳で、原油価格の低下が中東地域の安定にとって効果的なのかはよく分かりませんね。

[FT]ベネズエラ債務、原油下落で不履行懸念  :日本経済新聞

ベネズエラは先週、エネルギー価格の下落に歯止めをかけるため、石油輸出国機構(OPEC)の緊急会合の開催を求めた。これに関心を示したのはOPECの産油国の仲間ではなく、次第に不安を募らせる米ウォール街の債券投資家だった。
 
バンクオブアメリカ・メリルリンチのシニアエコノミスト、フランシスコ・ロドリゲス氏は「最近しきりに質問されるのは、ベネズエラが(債務を)支払えなくなる原油価格の水準はどのくらいかということだ」と話す。(中略)
 
しかし今のところ、11月27日に次回会合を予定するOPECは、ベネズエラの緊急会合の呼びかけに応じていない。実際には、OPECの原油生産量の半分を占めるサウジアラビア、イラン、イラクが、市場シェアを維持するために割安な価格でアジアの需要家に原油を売っているほどだ。国際指標の北海ブレント原油は16日に一時、1バレル83ドルを下回り、2010年以降で最低の水準に落ち込んだ。

ベネズエラといえば、チャベス前大統領による反米左派政権のイメージが強いですが、狙われたというよりもこれは”とばっちり”でしょうね。

一方で、日本と同様に原油が下がって嬉しい国もある訳で、

[FT]世界経済低迷、インドに追い風  :日本経済新聞

世界経済を覆う憂鬱な雰囲気と、新興市場に対する不透明感の中、インドは世界経済の低迷から思いがけない恩恵を受ける唯一の国として注目され始めている。
 
ブラジル、ロシア、南アフリカなどと違い、世界経済に関する新たな懸念によって引き起こされた商品市況の下落で、インドはむしろ貿易や国内予算の面において恩恵を受けている。またインドは中国と異なり、輸出関連分野が比較的少なく、製造品の世界的需要低迷の影響も少ない。
 
商品、特に原油がインドの輸入品目の半分以上を占めるが、輸出ではわずか9%で、大半は食品だ。原油価格が1バレル当たり1ドル下がれば、インドの経常赤字は約10億ドル減少する。燃料に対する補助金コストの削減も財政負担を軽減する。

ここ数年低迷していたインド経済にとっては恵みでしょうね。

日本も10月の貿易収支から原油価格低下の影響が現れてくると思います。 電気料金や今冬の灯油価格などへの影響に注目したいと思います。