ソニー吉田副社長、「ベンチマークは富士重工」

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エレキ分社への反発は想定外:日経ビジネスオンライン

吉田:苦心した部分は、例えば、ある事業から撤退するとなると売上高は減るので、「販社の固定費をどうするんだ」という話になる。つまり、赤字の事業をやめると、一時的にはさらに赤字が出る。しかし、その事業を続けていても赤字が出ると。このように意見が堂々巡りとなり、最終決断までに課題がたくさん出てくる。(中略)
 
やはり、ある程度の規模とブランドに育ったパソコン事業でも撤退したという事実が、社員のマインドセットを変えたことは大きいと思う。ソニーは、あまり事業撤退をやったことない会社だ。ベンチマークしている企業がいくつかあるが、それら企業に比べると、事業撤退というのはソニーはできていない。
 
これは各事業を縦軸とすると、横軸となる販売会社などの組織が各事業の自由度を縛っている部分があったからだと思う。それゆえ、ソニーはなかなか柔軟に事業撤退がしにくかったという面があった。

投資家からは「吉田以前」「吉田以後」でソニーは変わったと言われるほど、構造改革のキーマンである吉田副社長兼CFO。

そのベンチマーク先は意外な企業でした。

--ソニーとして現在、ベンチマークしている企業とは。

吉田:いくつかベンチマークしてる会社はあるが、そのうちの一社は富士重工業。同社で言うと、戦う場所を決めており、量も追わない戦略がはっきりしている。
 
自動車業界では、昔は「400万台クラブ」とか言われてた。だが、富士重工はそのような市場環境の中でも、いたずらに規模を追わず、高い品質のクルマを作り続け、米国など重点市場を絞り込み、固定ファンを生んできた。(中略)
 
ソニーがいたずらに規模を追っていた時代は、何が起こっていたかというと、売上高の増加を前提に戦略を考えていた。規模を追って売り上げを増やすためには、販社の強化が必要で固定費が増えるし、在庫も増える。
 
この状況で、市場環境が悪化した場合に何が起こるかというと、固定費でも在庫でもやられてしまい大きな赤字に陥る。実際、テレビ事業の赤字は2004年から続いているが、まさに、売上高が増えている一方で赤字も増えていた状況だった。

確かに富士重は利益率高いしね。 強みを活かしてると思うよ。

でも現在のマツダもそうだけど、それは自らを「ニッチ企業」であると規定してのことで、同じ戦略がトヨタやGM、VWなどの事業規模のプレーヤーで有効かという点には懐疑的だけどな。
スマホと違ってクルマの場合は「1つの車種でシェア6割」なんてことは起こらないだろうし、規模が大きくなれば車種も増やさざるをえない。

ソニーが富士重を目指すのはいいけど、それは自分が「業界の主役」ではなく「ニッチプレーヤーでいいです」と言ってるのと同義です。 実際そうだし、そうならざるをえないことなのかもしれないけど、ちょっと寂しいね。

--2015~2017年度までの新たな中期経営計画で打ち出した、エレキ事業を順次分社していく方針を決定した経緯を教えてほしい。
 
吉田:今、エレキ分野を事業ごとに分社化していく方針は出しているが、絶対的に正解となる組織の在り方というのはなくて、市場環境や時代の流れの中で変えていくものだと思う。その考え方の中で、今のソニーにとっては、会社を分けていくことが重要だと考えた。
 
私も平井社長も、遠心力側にいた。ソニー・コンピュータエンタテインメントも、遠心力がきいていた子会社で、前の本社は青山にあり「我々はソニーではない」とまで言ってたりしてた。
 
そういう経緯もあり私は、事業は自立していく方向が正しいと考えているし、その力学が自然だと思う。ソニーグループの売上高の約7割はすでに分社化された子会社から生まれているのもあり、ソニー本体にある事業も順次分社しようと考えた。

どっちがいいのか分からないけど、もともと事業部制でそれぞれがバラバラに商品を出して、同じカテゴリに似て非なる商品が重複したりしていたんですよね。 んで「サイロを壊せ!」ということで「One SONY」を標榜して、例えばCyber-shotやBRAVIA、WALKMANの技術がXPERIAに入ったりした訳です。
悪い先祖返りにならないようにしてほしいものです。


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実はまだKindle版を買ったばかりで読んでないですが、その筆力は素晴らしい清武氏なので期待しています。

ソニーは、なぜ延々とリストラを続けるのか | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

盛田氏は欧米の経営者を前に、しばしば「経営者はレイオフの権利があるか」と訴えた。その講演の一部を、彼の著書『21世紀へ』(WAC)から引く。
 
「あなた方は、不景気になるとすぐレイオフをする。しかし景気がいいときは、あなた方の判断で、工場や生産を拡大しようと思って人を雇うんでしょう。つまり、儲けようと思って人を雇う。それなのに、景気が悪くなると、お前はクビだという。いったい、経営者にそんな権利があるのだろうか。だいたい不景気は労働者が持ってきたものではない。なんで労働者だけが、不景気の被害を受けなければならんのだ。むしろ、経営者がその責任を負うべきであって、労働者をクビにして損害を回避しようとするのは勝手すぎるように思える。われわれ日本の経営者は、会社を運命共同体だと思っている。だから、いったん人を雇えば、たとえ利益が減っても経営者の責任において雇い続けようとする。経営者も社員も一体となって、不景気を乗り切ろうと努力する。これが日本の精神なのだ」(中略)
 
だが、そのソニーは出版の前年の1999年3月から現在まで計6回、公表されただけで計約8万人の従業員を削減している。

これに対して吉田副社長は次のように語っています。

--この20年、経営管理が行き届き過ぎて、自由な研究開発環境が失われ、エンジニアのモチベーションを下げる要因にもなった。ROEやROICという効率化を目指す指標と、開発の自由度や挑戦できる環境のバランスをどう取るのか。
 
経営効率化と、自由度の高い開発や挑戦。これは順番にやろう、と平井社長と話している。自由度の高いチャレンジには投資が必要。一方で、事業を続けるためには、まず利益出すこと必要。顧客や投資家への責任として、まずは利益出して事業を続けなければならない。
 
なので今は、効率化のための構造改革が先行している。じゃあ、なんのためにこんなツライことするのかというと、それは将来の挑戦のため。投資はしていく考えだし、実際に平井社長も必要な投資案件は認めてくれている。
 
まずコストを落とす、そして、やるべき部分では投資を増やすという方向にはしていく。そうなれば、エンジニアや若い人が自由に挑戦する場も増えてくるはずだ。
 
おそらく、市場も会社も急成長していた時期は、若い人でも権限が与えられ自由に開発ができたのだろう。ただ、事業環境が苦しくなると、昔と同じことはできない。挑戦の場を作るためにまず構造改革やって、投資できるようにして、伸ばすところは伸ばすと。そういうメリハリつけながらやっていくしかない。
 
社員全員を一気にハッピーにはできないが、やる気ある人、力がある人、ポテンシャルのある人から、挑戦する場を与えられるようにして広げていきたい。

「カネがないのはクビがないのと一緒」ですね。