湿式多板クラッチのATはロバスト性の高い技術

“トヨタ地獄”の予感…MIRAIチーフ田中氏登場:日経ビジネスオンライン

田:これは会社ごとの価値観の問題で、他社さんがどうという話ではありませんが、やはりトヨタのオートマチック系の開発には、低速時のギクシャク感を避けたいという考えがあります。
 
それと、もともと湿式多板クラッチのATってロバスト性の高い技術なんですね。つまり、ATはとても頑強です。ところがデュアルクラッチは、回転が合った瞬間にギアをパコンとつかむというようなメカニズムなので、ロバスト性を維持するのが難しかったというの面もあると思います。デュアルクラッチって、ある意味MTみたいな機構ですから。(中略)
 
いずれにしても、レスポンスとスムーズさを兼ね合わせるものとして、トヨタとしては湿式多板クラッチをうまく使った方がいいであろうという、そういう発想ですね。これ、僕の個人的な想像なんですけれども、ヨーロッパでデュアルクラッチが盛んなのは、いろいろなバリューチェーンとか、そういうものも絡んでいるんではなかろうかと。いわゆるギア作りが得意なところがデュアルクラッチに移行しやすいんじゃないかなと。僕はそう思いますね。

おーい、ホンダのDCT担当者、聞いてるか!?

それにしてもこの田中さん、ただの老けたおじさんではないね。 世界初の量産売り切りFCV開発の主査を任されただけのことはある。 なんかとても人間力がある感じがする。 じゃなきゃふつーはAT屋にやらせないでしょ?

清水和夫もこう言ってます。

トランスミッションが主役の時代に突入!エンジン、サスペンションが脇役に (オートックワン) - Yahoo!ニュース

今までトルコンATはダイレクト感が少ないとか、燃費が悪いなどのデメリットが指摘されていたが、最近は早期にロックアップを使い、緻密な制御が可能となっており、トルコンATのデメリットがなくなってきている。
 
一方で、耐久性とロバスト性を考えるとDCTは不安がつきまとうため、ホンダのようにトルクコンバーターやモーターを組み合せることになってしまう。
 
DCTはロバスト性が良くないという印象を私は持っているが、ポルシェだけは別格だ。ポルシェをヨイショするわけではないが、町中の走りから、コインパーキングの段差乗り越え、坂道発進のオートパーキングブレーキとクラッチとエンジンの制御など、どれをとっても完璧にこなす。(中略)
 
PDKが気持ちいいのはドライバーの気持ちを正確に読み取れる読心術のようなセンシングと、レスポンスの良いエンジンを正確無比に電光石火の如く制御できる緻密さにある。この技だけは他のメーカーも真似できていないだろう。

ZFに任せておけばいいという単純なものではないんだね。 使いこなすのが難しい技術なんでしょう。