狂気と情熱の果て

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

生協に売ってたので買ってみました。

ものごころついた時からクルマが好きだったのですが、バイクに関しては全く興味がありませんでした。
1980年当時、国内F2レースの中継があって、欠かさず観ていました(若かりし今宮純がピットレポートをやってた)。 最新マシン、マーチ802に乗る星野、長谷見の両ベテランに、型落ちマシン(マーチ792)で挑む若き新鋭・中島悟の姿に興奮したりしてました。

もっとレースのことが知りたいと、まだ線綴じだった頃の「AUTOSPORTS」誌を購読するようになります。 当時はウイングカー全盛時代で、マシンもバラエティーに富んでいて面白かったですね。
古本屋で古い「AUTOSPORTS」を見つけて購入したりもしていたのですが、その中の一冊に「ホンダ二輪世界GPに復帰」という囲み記事があったのです。 「AUTOSPORTS」は四輪が対象ですが、当時は二輪のレース雑誌などはない時代で、世界GPの結果なども載せていました。 NRについて知ったのはその時が最初だろうと思います。

前置きが長いですが、まだ続きます。
その後、HY戦争が勃発しバイクブームがやって来るのですが、個人的に初めてバイクに興味を持ったのは、中学の友人に見せられた「モーサイ」に載っていたCBX400Fの広告ですね。 何ページもあるカタログみたいなやつでしたが、X字を描くエキパイの美しさに魅せられたのだと思います。

この頃から各社の技術競争も盛んになり、メカ好きな自分もバイク雑誌を立ち読みするようになりました。 そんなとき出会ったのが、「RIDERS CLUB」誌です。 当時は画期的だった、世界GPのワークスマシンの詳細な写真&試乗記が載っていたのです。 もちろん、「伝説の1983年」、フレディのNS500とケニーのYZR500も(あと、タンデム配置が特徴的だったKR250とか好きだったな)。 それ以来、、「RIDERS CLUB」は就職して数年まで購読していましたね。


で、ようやくこの本、「ホンダ・モーターサイクル・レーシング・レジェンド」の話になる訳なんですが、こういう本を出すとしたら枻出版社(「RIDERS CLUB」を出しているところ)だろうと思っていたのですが、この本は八重洲出版社刊です。 歴史モノ記事で定評のある「別冊モーターサイクリスト」を出しているところですね。 実際、当時のレース風景の写真はなかなか見ごたえがあります。

当時のホンダのレース活動が、単なる覇権主義や物量作戦だけではなかったということは、この本を読めば分かると思います(もちろん好き嫌いはあると思いますが)。 んで、これを読んでいるとここ最近までのホンダの世界GPやF1に対するレース活動には、「勝利への執念」(言葉にすると陳腐ですが)が欠けていたと言わざるを得ないですね。 あと、ある種の狂気ね。 時代が違うし仕方ないんでしょうけど。


この本について不満があるとしたら、NXRについてのページが見開き2ページしかない点。 開発ストーリーについては既に『NXR開発奮戦記』(絶版)で十分に語られているのでいいのですが、もっと開発中やパリダカでの未公開の写真を掲載してほしかったと思います。
あと、大人の事情もあるとは思うんですが、入交さんの仕事がバッサリとなかったことになっているので、その辺を補追してもらいたい。 その辺も『いつか勝てる』(絶版)に書いてあるのですが、今の入交さんがどう回想するか興味があるので。
重版される際には、是非ご検討頂きたいものです。