日本初の「キーレス・エントリー」 開発秘話

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【マイコン談話室】技術者のアイデアと情熱が新たな車載マイコン市場を創出~日本初のリモコン式ドアロック「キーレス・エントリー」~ - マイコン - Tech-On!

――開発が始まった時の様子を教えて下さい。
 
山田氏 アコードが発売になる約1年前の1984年夏のことです。当時は,三井金属鉱業で自動車に搭載するドアロックの機構系を中心とした設計を担当していました。ある日,自宅でテレビを見ながらリモコンを操作していたときに,リモコンで自動車のドアロックを操作できたら便利ではないかという考えが浮かんだのです。
 
早速,取引先だったホンダのチーフ・エンジニアに,このアイデアを話しました。すると,自身が開発を担当していた翌年春に発売予定の車種に向けてならば,採用を検討しても良いと言ってくれたのです。そうなると新車種の装備を審査する会議に提出するために,約2カ月で機能を確認できる試作品を用意しなければなりませんでした。
 
この審査を通ったとしても,それから半年ほどの間に,量産まで漕ぎ着けなければなりません。これを実行するのは難しいと見るのが普通です。私もそう思いましたが,この時点でキーレス・エントリーを搭載した自動車は,まだ世界中でも発売されていません。実用化すれば「世界初」の成果です。無謀な考えだと思いましたが,とにかく挑戦することにしました。

あの頃はクルマのエレクトロニクス化で、いままで出来なかったことができるようになり、各社が競うように「世界初」の機能を搭載していました。 でも実際は、部品メーカーの提案を自動車会社が採用するという形で、世に出ることが多いんですね。
日本のクルマが元気がないのは、原価低減で部品メーカーを絞りすぎた結果でもあるのかもしれません。

ところで、なぜ「世界初」ではなく「日本発」なのかというと、

実は,世界初を目指して開発に取り組んでいましたが,アコードが発表される少し前に,海外のある自動車メーカーがキーレス・エントリーを搭載した自動車を発表してしまいました。「世界初」にはなれませんでしたが,難しい条件の中で業界に先駆けて新しいシステムの開発を成し遂げたことは,私たちにとって大きな自信をもたらしました。

同じ時期に同じことを思いつくというのはよくあることですね。