PSA・三菱自提携に3つの課題

スズキ、VWと世界一連合へ:日経ビジネスオンライン

まず三菱自社員の心理的な抵抗だ。「社内には外資に対してアレルギーがある」と三菱自のある役員は話す。
 
2000年に発覚した1回目のリコール隠し問題により、顧客離れから売上高が低迷。三菱自は独ダイムラーの傘下に入り支援を受けた。だが、ダイムラーに経営の主導権を渡した結果、新車開発の中止が相次ぎ、開発や生産などの様々な分野で人材流出を招いた。さらに、トラック・バス部門で、2度目のリコール隠し問題が発覚した2004年には、ダイムラーは追加出資を見送り、三菱自は資金不足に苦しんだ。後に、提携が解消されたことなどで、三菱自の社内には外資に対するマイナスイメージが染みついている。

気持ちはわかるけど、リコール隠しだって販売不振だって自業自得じゃん?
それにしても、記事の名前は「スズキ、VWと世界一連合へ」ですが、内容の大半はPSA・三菱自についてというのが面白いですね。

そんな社内の外資アレルギーを認識しつつも資本提携に動いたのは、やはり優先株問題だったようです。

窮地にあって、焦点となったのは優先株の処理だ。2010年3月期から配当の支払いを開始することになっており、毎期200億円程度が必要になる。だが、今期も赤字が見込まれることから、配当開始は危ぶまれている。優先株を抜本的に処理しない限り、この問題は解決できない。
 
「ともかく優先株を処理しなければ本当の意味で再生できない。なるべく早い時期に一気に取り組みたい」と益子社長は8月に本誌に語っていた。

ちゃんと配当しないと、優先株を持ってる企業が株主から代表訴訟を受けるかもしれません。 いくらグループ企業とはいえ、ちゃんとしないとね。

ということは、三菱グループ企業が持つ優先株をPSAに売却するということになるのかな。
問題はPSAがその資金をどう捻出するかですが。

2番目の課題は、救済する側のPSAの台所事情だ。2009年1~6月期は13億3200万ユーロ(約1800億円)の巨額赤字を計上。通期でも赤字を見込む。
 
財務体質が脆弱で収益力が他社と比べて見劣りするため、米ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格付けはBaa3。投資適格の中では最低ランクだ。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)、ダイムラー、BMWの格付けがA3であることを考えると低い。その中で、PSAが2000億~3000億円とも言われる巨額の資金を投じるには、思い切った経営判断が必要になる。 (中略)
 
3つ目の課題は、三菱・PSA連合が誕生した場合の競争力だ。電気自動車では三菱自の「アイ・ミーブ」があるものの、日本の軽自動車の規格で作られたクルマが海外でどれだけ受け入れられるのかは不透明だ。

三菱自のムーディーズの格付けはまだBa2なのかな? 両社ともに財務体質は良くないですね。

ところで、チェコでのトヨタとPSAの合弁はそのまま継続されるのかな? VWとの関係も含めて、トヨタは提携関係の見直しが必要になるかもしれませんね。

自動車業界では、この2つの提携交渉を皮切りに、再編が一層加速すると見られている。では、次に再編に動くのはどこか。
 
まず、米フォード・モーター傘下のマツダの動向は気になるところだ。フォードは2008年11月にマツダ株の大半を放出したため、持ち株比率は33.4%から13.8%に下がった(2009年3月末時点)。マツダも環境技術の開発は不可欠だが、単独での投資負担は重くのしかかる。ハイブリッド技術でトヨタと提携交渉を続けており、他社との提携も考えられる状況だ。

もう残っているのはマツダだけですが、フォード出身役員がいなくなったとはいえ、生産・開発でフォードとは不可分の関係にありますから、すぐにどうこうというのはないと思いますけどね。 まだ14%くらい株を持ってますし。