セントラル自動車・宮城工場は車体横置き生産ライン

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asahi.com(朝日新聞社):車体横置き生産ライン トヨタ導入 時間短縮・設備安く - ビジネス・経済

トヨタ自動車は、今月稼働を始めた宮城県の完全子会社の工場に、車体を横向きに置いて流す、新しい生産ラインを導入した。車は、長さは4、5メートルあるが幅は約2メートルなので、縦に流す従来法よりラインの長さを3分の1ほどに短くできる。このため、ほかの取り組みも合わせて、新工場の設備投資額は当初予定の6割で済んだ。車の組み立てにかかる時間も短縮できたという。(中略)
 
ラインはU字形で、車体は90度外側を向く。これによりラインの長さが短くできるだけでなく、ラインの外側からエンジンを、内側から足回り部品を取り付けるなど、違う作業を同時並行ででき、完成までの時間も大幅に短くできるという。(中略)
 
トヨタは、宮城での「横置き方式」がうまくいけば、トヨタ本体の工場の組み立てラインにも採り入れることを検討する方針。

組み立てラインでの車体の横向き搬送は、かなり昔からある方式です。 どこの会社も一度はトライしていると思いますが、トヨタは初めてなのかな?

ラインの長さを目論見通りに短くできるかは、タクトや部品の配膳方式にもよります。 1台当たりのライン長が短くなれば、ラインサイドの部品配置スペースも短くなりますから。

むしろ横向き搬送のメリットは、大きさが異なる車体を流動させる場合にあります。
車体の幅方向はヴィッツとカムリでは200mm程度しか変わりませんが、車体の長さは1mくらい違います。 カムリを流そうとしたら、車体の搬送ピッチは6mくらいは確保する必要があります。そんなラインにヴィッツを流したらスカスカですね。


クルマの生産ラインの企画を立てたことがある人なら、一度は考えるのが横向き搬送です。
じゃあなんで横向き搬送が普及してないのかというと、デメリットもあるからです。

クルマは、ハンドルや給油口など例外もありますが、車体中央線で左右対称になっています。 そのまま流せば生産ラインの両サイドの人はそれぞれ右側と左側の部品を取り付ければいいのですが、横向き搬送だとそうはいきません。 車体の前部と後部では、エンジンルームがある前部の方が圧倒的に作業量が多いですし。

さらにシートやインパネ(こちらはフロントウインドーからも可能ではありますが)を車内に投入することや、作業者の動線を確保することを考えると、あまり車体の搬送ピッチを詰めることは出来ないのです。

という訳で、セントラル自動車がどのようなアイデアを盛り込んだのか興味がありますね。