EBOMとMBOMの分離

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
  • ハッシュタグ:

ここにきて工務領域の業務負荷が高いことで、メンバーから突き上げをくらっています。
とはいえ限られた人的リソースでこなしていかなければなりませんので、業務の効率化が急務です。
「プランA」完成の目処が立たない状況なので、「プランB」の完成を急がなくてはなりません。 9月に完成なんて悠長なことは言ってられなくなりました。
4月に入ってからは、平日夜だけでなく週末も家にこもりきりで、開発作業を続けています。

この5日間ほど取り組んでいるのが、MBOMのデータ構造の変更です。

従来のMBOMは、設計者が出図する部品表のデータ構造をそのまま取り込んだものでした。
部品表はA3用紙で、左側に部品番号や名称、材料(製作)、メーカー(購入)などが記入されており、右側には納期や発注先などが記入できるようになっています。 それらが行単位で並んでいるわけです。

部品表はExcelのデータを取り込むのですが、空行やコメント行(手配数が入っていない行)があっても、そのまま取り込みます。
1つのワークブックに複数のワークシート(部品表)が入っていますが、部品表の表題欄に記入された部品表番号で識別していました(データ保存前に入力されているか確認)。

1つの工事に1セットの部品表ですから、分かりやすいのは確かです。 部品表番号と行番号で、部品を特定できますから。


問題は出図が1回で終わりというのは少なくて、小出しに出てきたり数量の追加や修正があるのが当たり前ということです。
同じ部品表番号の部品表が複数回出図されることを考えると、出図履歴単位で部品表を管理する必要が出てきます。

つまり、1回目に出図された部品表では1行目から10行目までが手配範囲で、2回目に出図された同じ部品表では、追加された11行目から15行目までが手配範囲という扱いをしなければなりません。
そうなると設計段階での部品表(EBOM)と、製作段階での部品表(MBOM)とを分けなければなりません。


EBOMとMBOMの分離というのは知識としては知っていましたが、いざデータ構造を考える段階では具体的にどうしたらいいのか分からず、途方にくれてしまいました。

E-BOMとM-BOMの違いはここにある~BOMマイスター講座(最終回) - 日経ものづくり - Tech-On!

まず,E-BOMとM-BOMは,別物と考えるべきだ。これはなぜか。それは,設計と製造で,業務機能の目的が異なるためだ。よって,業務機能の転写であるデータ構造も本質的には異なることになる。
 
設計で大事なのは,要求される仕様を機能に変換し,最終的には実体にいかにおとしていくかということだ。一方。製造で大事なのは,設計で決まった実体を,どの順番でどう作るかということだ。設計も製造も対象製品のQCDEを満たさなければならないのは当然だ。要は,いかに製品の構造や機能を決めていくかという領域と,それをどうやって作るかという領域に別れるので,基本的にデータの形は全く異なると言いたい。
 
設計者は,製品を機能や物理構造の単位で設計していく。よって,E-BOMは階層(ストラクチャー)型構造となる。一方,製造は,フロー(流れ)だ。組み立てたり加工したりして,設計が定義した部品が時間軸と共に製品へ姿を変えていく。M-BOMは,流れ構造を本質的に持つ(図)。

結果的には「ストラクチャーとフロー」なんて難しい話ではなくて、EBOMの中から手配対象の部品だけを摘んだ部品表というのがMBOMになりました。

もちろん部品名などの部品自体の情報はEBOMに、手配先や納期、決定金額など手配情報はMBOMに記録されます。
EBOMとMBOMを結ぶのは、最初は出図履歴番号と表番号、行番号の3つでやろうとしましたが、大変なのでMBOM側にインデックス番号(自動採番)を設けて、それをEBOM側に書きこむようにしました。


これでようやく出図履歴を、部品の手配のプロセスに組み込むことができるようになりました。

さらに、出図履歴に記入された製作品と購入品の納期情報(中日程)を、部品の手配時に自動的に部品納期(中日程)の初期設定として入れるようにしました。
製作品を内作するための材料手配の場合は、部品の加工納期と発注日の日数(リードタイム)から判断して、納期を1~3日後まで変化させています。

今回のデータ構造の変更は、「プランB」の根幹に関わる部分であり、影響は数十ページに及びます(ちなみに全体のページ数は301ページになりました)。
プログラムを改変するというのは、動いているシステムを一旦壊すということであり、なかなか勇気が要ることです。 踏ん切りがつかなくてグズグズしていたのは、どの方法がベストか見極められていなかったからです。

とりあえず、一つのヤマを越えられたかな。