現代の上司は、部下の「育てなおし」もしなければならない

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未熟部下がトップクラスの優秀成績者に! 支援を続けた上司の“成功の秘訣” ――未熟な部下を成長させる上司の支援力<下>|「会社のワガママちゃん」対処法|ダイヤモンド・オンライン

前回ご紹介したSOCという概念が、部下の成長支援に重要であるということを裏付ける私達の研究結果を提示しよう。
 
それは、SOCが高い上司の下で働く部下のSOCは高く、逆にSOCが低い上司のもとで働く部下のSOCが低いという研究結果である。この結果から言えることは、上司がどんな仕事に対してもきちんと意味を見出し、先を見通した段取りを組みながら、最終的には「何とかなるさ」という楽観性を持っている場合には、部下も自然とそのような力が身に付くということである。つまり、ストレスな状況でも他者を非難したり、避けたりすることなく、その困難を乗り切ることができる部下を育成するためには、上司自身のSOCが高く保たれているということが重要な要素なのである。
 
「今は人格的に未熟で戦力とは言えない若手社員かもしれないが、そのような成長支援に携わることは自分の人生にとっても有意義であり(有意味感)、きちんと関わりを持ちじっくり育てて行けば少しずつでも成長し(把握可能感)、いつかは必ず会社にとって有用な人材になってくれるはず(処理可能感)」と考えられる力こそが、部下の成長支援につながるということである。

「部下は上司の背中を見て育つ」というと、ちょっと手垢のついた話になってしまいますが、それでも上司はロールモデルであらねばならないということです。
ところでSOCって何?

SOCとは Sense Of Coherence の略で、健康生成説と呼ばれる考え方の中核をなす概念だそうです。

“辞めさせたい”“異動させたい”未熟部下は変わるか 育成を強いられる上司の苦悩と究極の打開策 ――未熟な部下を成長させる上司の支援力<中>|「会社のワガママちゃん」対処法|ダイヤモンド・オンライン

SOC は、ストレスの原因に対して3つの感覚を有することができる力とされている。具体的には、第1に「有意味感」、第2に「把握可能感」、第3に「処理可能感」という3つの力である。「有意味感」とは直面した出来事をポジティブに捉え自己を再度とらえ直す力、「把握可能感」とは直面した出来事や問題を把握しその後を予測する力、「処理可能感」とは一見先の見えない辛い出来事でも、「何とかなる」と考えることができる力のことである。

んー、「把握可能感」と「処理可能感」とは要するにあれかな。
自分はビデオゲームとか苦手なんですが、スピードが速くなってきてたくさんのことを正確に処理しきれなくなると、手に負えない感じで「わー」とパニくってしまうんですが、そんな感じ?

それにしても、時代は変わったものですね。

しかし、人事部長からは育田に対して、「確かに君の苦労はよく分かったが、会社も人を採用するには多大なお金や時間をかけて行なっているんだ。それに二階堂には彼なりの良いところがたくさん見えたから採用した。だからすぐに辞めさせるとか、異動させるとか考えずに、まずは二階堂を一人前の社会人に育ててやることを考えてくれないか。」と告げた。
 
育田は、「部下の育成状況が私の評価の一つにもなるのです。二階堂のようなワガママ社員を育てられなかった場合に、私の評価まで下がるというのでは納得いかない。それにそもそも、会社は人を育てるところではなく、働く場なんです。教育は学校や家庭で行なうべきものじゃないですか。」と強く反論した。
 
それに対しても人事部長は「そうだな、確かに育田君の気持ちはよく分かる。でも逆に考えれば、彼のようなワガママ社員を一人前の社会人に育てることができれば、君の人材マネジメント能力は非常に高く評価されることになるぞ。これも逆転の発想でよいチャンスだと考えて欲しい」と諭した。

親が子供のしつけを学校に押し付けて、学校も手に負えず、最終的には会社の上司が「育てなおし」をしなければならないとはね。

未熟部下がトップクラスの優秀成績者に! 支援を続けた上司の“成功の秘訣” ――未熟な部下を成長させる上司の支援力<下>|「会社のワガママちゃん」対処法|ダイヤモンド・オンライン

 前回の記事では、未熟型人材の発生背景には、小さい頃からの過保護的な養育環境のために挫折体験や理不尽体験が少なく、本来であれば思春期で経験すべき発達段階をクリアしてきていないという事情があることを説明した。しかし、彼らはそのような発達課題をクリアしていないからと言って、すべての精神的成長が止まってしまっているわけではなく、不完全ながらも成長を続けてきたのである。その証拠として、彼らはなにも自分の意見を主張することができないということはなく、むしろ自己の権利に関してはきちんとした主張ができるのである。
 
だからこそ彼らを成長支援する中で必要なことは、本来であれば学校や家庭で経験すべきすべての発達課題を体験させる必要はなく、彼らに不足している経験をスポット的に補ってやることなのである。
 
未熟型人材の多くに欠けているのは、人の痛みを理解し、集団の中でわき起こる葛藤とうまく折り合いを付けるという情緒的共感性であると私は精神科産業医の立場から考えている。だからこそ集団の中で生活をしていく以上、誰かがやらなければならないことはたくさんあり、たとえ自分にとって好ましくないことであっても、他の人の感情にも配慮したうえでやらなければならないことがたくさんあるということを、体験的に理解してもらうことが重要だと言える。

この「理不尽体験」というのは特に重要だと思いますね。 子供のときに免疫がないと、社会(理不尽なことだらけです)に出てから適応障害になると思います。