面接するには「雑談力」が大事

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Business Media 誠:雑談力がない人に、面接上手はいない

面接では、その学生のパーソナリティや能力を推し量らねばならない。それは、「彼が何をやってきたか」を聞いても分からない。事実を確認しているだけだからだ。「ある状況・背景において、どう考え、どう感じ、どう行動したか」を把握することで、初めて彼の中身に触れることになる。
 
状況・背景を知り、そこでどう考え、どう感じ、どう行動したかを知るためには、一問一答のような受け答えでは無理で、しっかりと説明してもらえるような質問の仕方が重要になってくる。学生が用意してきた回答を受け取るだけではなく、その場で考えて回答しなければならないような質問をできるかどうかが鍵となる。アンケートをとるような網羅的で深みのない会話は意味がない。
 
面接における具体的なコミュニケーション技術は、「広げる」「深める」「まとめる」ことである。その学生が物事をどうとらえ、どう行動するかを判断できるような話題はそんなに多くはないので、まずは、そのようなポイントにたどり着くために話題を広げなければならない。そのポイントにたどり着かずに面接を終了してしまったら、失敗である。
 
次に、そのポイントに来たら、そこでじっくり話を深める。具体的な描写を求めるとともに、そこでの状況のとらえ方や思考、感情を言葉にしてもらうことだ。最後に、話の内容や相手の言いたかったことをまとめ、整理して返して、こちらの理解の確かさを確認する。面接側の勝手な理解とならないよう、また学生側に伝わった実感があるようにするのである。また、このような会話が可能となる前提として、話しやすい雰囲気作りと、こちらの興味関心が伝わっていることが大切となる。

自分は今年初めて、非正規従業員の採用面接というのをやりましたが、ひとり10分くらいだし、基本的には大きな問題さえなければ採用したいので、それほど突っ込んで話をすることはありませんでした。
新卒採用の面談って、どれぐらい時間を掛けられるんですかね?

それはさておき「雑談力」です。

雑談の巧拙は、関連することに話題を変える(広げる)こと、ここというポイントで内容を掘り下げていく(深める)こと、相手の話やこれまでの会話を整理して返したり引き取って話したりする(まとめる)こと、を柔軟にできるかどうかにかかっている。話しやすい雰囲気があり、相手への興味関心が感じられる、という点でも面接と雑談は同じである。一問一答形式で、事実を単に網羅するような雑談は面白くも何ともない。
 
面接の力は、雑談力を普段から鍛えることで上がっていく。仕事の合い間や休憩時間や飲みながらでもいいと思うが、「話しやすい雰囲気」「相手への興味関心」、「広げる」「深める」「まとめる」という観点からコミュニケーションを見つめ直せばいい。普段、見知った相手から思いや感情を引き出したり、会話を盛り上げたりできないのに、面接だけは上手という人はいないはずだ。雑談下手が、面接官研修を受けて急に面接がうまくなることなど、考えにくい。面接上達への道は、普段から雑談力を磨き続けることである。

面接官は、日々の自主トレが大事だということです。