日本の低成長は総人口の減少が理由?

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水説:金融と涙の水たまり=潮田道夫 - 毎日jp(毎日新聞)

講演の主題は「欧米の日本化」として騒がれている問題だ。バブル崩壊以来、日本経済は低成長にあえぎ「失われた20年」を経験した。米欧諸国もまた、この「長く曲がりくねった道」をたどることになるのだろうか。
 
結論から言ってしまうと、イエス、日本の二の舞いを演じるおそれがある、だ。
 
借金返済(デレバレッジ)に追われ、金利がゼロまで下がっている状況では、中央銀行の金融政策の効果は限られる。できるのは「時間稼ぎ」だけ。その間に必要な構造改革をしなければならない。それが白川総裁の結論。
 
注目されるのは「失われた20年」の分析。「前半と後半とでは低成長の原因がかなり異なる」と強調した。
 
「90年代の低成長の主因は未曽有のバブル崩壊に伴うデレバレッジであった。これに対し、2000年代以降の低成長の主因は世界の経済史に例を見ないような急速な高齢化や人口減少である」
 
総裁は次のように言う。2000年代、日本の国内総生産(GDP)の伸び率が先進国の中で最も低かったのは事実である。しかし、人口1人当たりで見れば、先進国と同程度だったし、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)におけるそれでは最も高かった。つまり日本の低成長は総人口の減少が理由だったのだ。

大学全入時代で、15歳から22歳までの労働人口も減ったろうしね。
でも、じゃあ労働者が減って有効求人倍率が上がったかというと、そんなことはないしね。
何が正しいのか、正直よくわかりません。

日本の失われた数十年は作り話か? 経済危機直面の欧米で議論|JAPANなニュース 英語メディアが伝える日本|ダイヤモンド・オンライン

寄稿したのは、エイモン・フィングルトン氏。英紙『フィナンシャル・タイムズ』や米誌『フォーブス』の元編集者で、日本に詳しいアイルランド出身の経済記者です。(中略)
 
「色々な指標で計れば、1990年1月の株価暴落で始まったいわゆる失われた数十年といわれる期間に日本経済はとても好調だった。重要な指標を見るなら、日本はアメリカよりずっと好成績を残している。株価急落にもかかわらず日本は国民の生活レベルを向上させてきた。いずれ時間がたてば、この時代は大成功した時代だったと評される可能性は大きい」と。
 
そしてフィングルトン氏は欧米メディアの経済記事が日本を笑い者にするのは間違っているとして、いくつかの指標を挙げます。たとえば1989年から2009年にかけて日本の平均寿命が4.2年伸びたこと。これは医療が優れているからだと。そして日本はインターネットのインフラを見事に向上させたと。90年代には整備が遅れていると馬鹿にされていたが、最近では世界最速のインターネット網を備えた世界トップ50都市の内38都市が日本だという調査結果もあると。加えて1989年に比べて日本円は対ドルで87%、対ポンドで94%も価値を挙げているし、失業率4.2%はアメリカの約半分だし、1989年以降のアメリカが経常赤字を4倍以上に増やしているのに対して同時期の日本の経常黒字は3倍に増えていると。(中略)
 
「日本は衰退などしていない」というのはフィングルトン氏のかねてからの持論で、たとえば2005年4月にも「日は昇り続けている」と題して、「史上最大の経常黒字を発表したアジアの国は日本だ。アメリカ経済にとって最も大事なアジアの国は、依然として中国ではなく日本だ。個人所得のレベルで比べても、アメリカが指標とするべきは中国ではなく日本だ」と書いていました。それから7年たって、中国の存在感はますます高まっているわけですが、それでもフィングルトン氏は「日本は衰退などしていない」と主張を重ねているわけです。

外から見てどうだかは知らないけど、日本の中の人は「停滞している」と感じていますよ。


日本の失われた数十年は作り話か? 経済危機直面の欧米で議論(gooニュース・JAPANなニュース) - goo ニュース

同じ『ニューヨーク・タイムズ』ではノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大学教授で名物コラムニストのポール・クルーグマン氏がフィングルトン氏の主張に対し、「日本が衰退しているというありがちな指摘は大げさすぎる、というのはその通りだ」とした上で、「日本の経済成長が停滞している最大の原因は人口減だ」と。そして労働者ひとりあたりのGDPで日米を比較すると、1990-2000年にかけては本当に日本の労働者の生産性はアメリカに比べて下落していたが、2000年以降は持ち直しているのだと指摘します(もっとも日本の労働者の生産性がアメリカのそれに常に満たないというのが、私には驚きでしたが)。
 
日本経済はひたすら悪化し続けているという一般イメージは間違っているし、日本は確かに1990-2000年に経済停滞を経験したが、その最中にあっても「アメリカがいま経験しているほどのすさまじい苦しみ、人的被害(human disaster)を日本は免れた」ともクルーグマン教授は言います。
 
「(経済危機に直面するアメリカは)日本と同じくらいひどい対応をする羽目になるのかと質問されるたびに、最早それどころではないと僕は答えている。アメリカは実を言えば、日本が経験していないほどひどい状態にある」とクルーグマン教授は結んでいます。

クルーグマンは結構いい加減だから話半分に考えた方がいい。
でも「失われた20年」に対する評価は白川日銀総裁と同じですね(白川氏がパクったのかもしれませんが)。

まずローランド・バーク東京特派員は、「日本は20年も停滞していたようには見えない。往来は活気に溢れ、女性の半数はルイ・ヴィトンやその他のブランドものバッグをもっている。ミシュランの星がついたレストランの数はパリより多い」とリポート(ミシュラン云々のくだりで映ってるお店がドトールだというのが苦笑ものですが)。「(経済危機に直面する)欧米は日本のようになるのを恐れるのではなく、日本のようになろうとお手本にすべきなのでしょうか」と問題提起し、そして輸出用精密機械の基盤を作る日本企業を紹介しています。この会社は円高による苦境を乗り切るのに、従業員を削減するのではなく、なんと全員の給与を下げたのだと。「なぜそんなことができるのですか」と尋ねるバーク記者に、日本人マネージャーが「だって、クビにするべき人はひとりもいませんから」と答える姿が映し出されます。
 
そしてこれについて番組では、『フィナンシャル・タイムズ』のアメリカ編集長で元東京支局長のジリアン・テット氏(サブプライム危機を予測した記者として有名)が、日本のGDPや経済成長も確かに再評価されるべきだと認めた上で、何より特に注目すべきはこうやって従業員をクビにするよりは全員で給与カットを受け入れようという日本社会の発想だと指摘。この事例からも明らかなように、日本社会において特に大事なのは「social cohesion」、社会の一体性、団結力なのだと話していました。注目すべきは「日本社会の、みんなで痛みを共有できる力、みんなでがんばれる力です」と。
 
「経営が厳しい時に従業員の給与をカットして辛い時期を乗り切ることができるというのは、経済に柔軟性を与え、社会に団結力を与えます」とも。加えて、日本の巨額な公的債務も問題視されているが、これも欧米とは事情が違うと。なぜなら日本の国債の大半を保有するのは外国人投資家ではなく日本人なので。ゆえに日本の財政健全化のために日本人投資家がヘアカット(債務元本の削減)を受け入れるのはあり得る話で、それが海外投資家に債務の半分を所有されている欧米の財務危機とは事情が違うと。
 
ただし、とテット記者は付け足します。一致団結を重視する日本社会の負の側面、つまり「conform(順応・同化)」しなければならない社会だという面を、アメリカ人やイギリス人が好んで受け入れるとは思えないと。

これもどうだかねー。 給与カットした会社もあったけど、ほとんどは正社員を減らして派遣で補ったんじゃないのかな?

それでも、いやいや、日本は本当にひどいことになっているのだ、フィングルトン氏は全く間違っているという反論もありました。『ニューヨーク・タイムズ』には、かつて『ナイト・リダー』系列各紙の東京特派員だったマイケル・ジーレンジガー氏が投書し、「日本は縮小しつつあり、ますます内向きになっている。(世界における)重要性を失いつつある国だ」とフィングルトン氏に反論。企業への忠誠に縛られて夫たちは家庭にいる暇がない。そんな社会で女性たちは子供を産もうとしないし、政治は信用を失い、公的債務はGDPの2倍以上。オリンパス問題は日本企業がいかに身内意識に汚染されているかの証拠だったし、日本がいかに危機に対応できないかは原発事故で改めてあらわになったと、これぞ通説とも言える日本衰退論をたたみかけています。「アメリカが力を失っているからといって、日本が力を増したわけではない」「日本社会は個人を応援しない。そんな日本を脱出して個人を支えてくれる社会を求めて、(アメリカの)ブルックリンやサンフランシスコに移住してきた何千人もの日本の若者に聞いてみるといい」とも。

そんなに沢山の若者が海外移住してるなら、ゆとりちゃんたちも捨てたものではないと思いますが、そんな話はあまり聞かないね。

ディベートというのは極論をぶつけ合うものなのかな? 噛み合わないだけで話が終わっちゃいますね。