NXRの開発裏話

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宗一郎さんにも秘密だった挑戦  (福井威夫氏の経営者ブログ) :日本経済新聞

1983年から85年までの3年間、BMWがモト部門を3連覇。ドイツの技術力の評価が高まっていた。二輪車レース用のマシンを開発する「ホンダ・レーシング(HRC)」にいた私は、ふがいない結果を見るに見かねて、あることをもくろんだ。パリダカでは初めてとなる水冷エンジンの開発だ。
 
それまでパリダカに参戦するマシンはホンダに限らず、すべて空冷エンジンを採用していたが、水漏れさえしっかり防げば、水冷エンジンの方がマシンの性能を高められると考えたからだ。とはいえ、砂漠を長時間走るマシンに水冷エンジンを採用するなど、頭の固い本社の承認を得られるとは到底思えない。ここは内緒でやるしかないと、こっそり予算をやりくりし、開発資金を捻出。当時としては画期的な水冷V型2気筒マシンを開発して、ワークスチームに提供した。

今ならコンプライアンス違反とか、いろいろ言われちゃうんでしょうね。
ホンダから面白い製品が出なくなったのは、そんなところにも理由があるのかもしれません。

で、NXRは無事にパリダカ制覇をする訳なんですが、

試合後、本田さんがHRCの朝霞市の拠点にいる技術陣を訪ねてきた。ホンダが参加するレースは年中、どこかで開催されていて、本田さんが怒るネタには事欠かなかった。後にも先にも本田さんが満面の笑みを絶やさず、会話をしてくれたのはこの時だけだろう。
 
 「アフリカでレースやってるんだって」
 
 「はい、勝ちました」
 
 「そうか、そうか」
 
 「実は、開発資金は本社に内緒で・・・」
 
 「そうか、そうか」
 
さすがに何か言われるかと思っていたが、気にするそぶりは全くない。我々から話を聞いている間、終始、にこにこしていた。それまで負け続きだったのがよっぽど悔しかったのだろう。断トツの勝利にこだわる本田さんにようやく恩返しができた気がした。

おかげでトランザルプアフリカツインが生まれた訳ですから、福井氏に感謝ですね。