プロとは何だ?

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「プロじゃなかった…」リストラで運転手になったミドルの重い一言:日経ビジネスオンライン

「日本に帰ってきて。会社には戻る場所がなかったんですか?」
 
「まぁ、はっきり言うとそういうことです。生産管理をやる前は営業やったりしていたんでね、仕事を探したんですけど、すぐに見つからなくて。それで、タクシーの運転手になったんです。ゆっくり探せばどこかにあるかもしれないけれどね。家族がいるとそんなのんきなことを言ってられないですからね。お客さんには迷惑かけて申し訳ないですな。都内の道は時間によって一方通行とか右折禁止とかあって、なかなか覚えられなくて。いやぁ、ホントすみません」(中略)
 
で、最後に彼はこう言った。

「まぁ、私はプロじゃなかったということです。営業としても、生産管理としてもプロじゃなかった。そういうことです」(中略)

そして、その一言には、厳しい経験をした人でしか醸し出すことのできない、重さがあったのである。

いやいや。 海外工場での生産管理は、プロじゃないとできませんよ。

もうひとつ事例が。

その男性は大手電機メーカーに勤めていて、1990年代後半に東南アジアに転勤となった。当時はグローバル化なんて言葉も流通していなかったし、「現地の言葉は転勤前にしゃべれなくても後からついてくる」という考えが主流だったので、「1週間だけ英語の猛特訓を受けて転勤した」と笑いながら話してくれた。前述の運転手さん同様、仕事は生産管理だったそうだ。
 
「在庫は作らない、発注は滞らせない」ことを徹底するという考え方を、現地スタッフはなかなか理解できず非常に苦労したと語っていた。言葉の壁もあったので、積極的にスタッフと関わり、一年近くかかってやっと英語も上達し、家族も現地の生活になじんでいったそうだ。
 
ところが赴任して7年目。その方が就いていたポジションは、現地スタッフに任されることになった。それに追い打ちをかけるように本社部門の一部がアメリカの企業に買収された。(中略)
 
冒頭の運転手さん同様、アジア市場を開拓するために乗り込んだこの男性も、結局はリストラされた。

電機業界の生産管理がどうなのかよく分かりませんが、新興国に進出しようとする企業は後をたちませんから、活躍の場はありそうに思いますけどね。

ところで「プロ」の定義についてですが、

運転手さんが、「プロ」という言葉を、どういう意味合いで使っていたかは定かではない。
 
その場で「プロってどういうことですか?」とは聞けなかったし、「プロじゃなかった」という言葉以上でも以下でもないのだと、なぜかその時は納得してしまったところもある。
 
ただ、恐らくそれは、「その人の代わりはいない」ということなんじゃないかと思ったりもする。どんなに優秀な中国人が出てこようとも、どんなに企業がコスト削減に乗り出そうとも、「アイツは必要だ」と思われる人。ただ単に、専門知識に長けているとか、何だとかいうのではなく、名指しで求められるまさしくプロフェッショナルな人だ。
 
そして、この一言こそが、この先を生き抜くキーワードになるのではないか。就社だろうと、就職だろうと、何にせよ、プロが求められる時代に突入している。そう実感せずにはいられなかったのである。

「プロが求められる時代」は今に始まったことではないですけどね。

で、どうすれば「プロ」になれるんでしょうか?

「自分がこうなりたい」という明確なイメージをもって、仕事にプラスアルファを加えて、自分の仕事にする努力。10年の間に、「自分が磨き上げたい」と願うものを、1日3時間でいいから徹底的に取り組めば、自分にしかできない能力を手に入れる可能性が高まると考えられないだろうか? 
 
「1万時間でいいんだったら、1日8時間で3年でもいいんじゃないか」。こう言う方もいるかもしれない。
 
確かにそういう考え方もできるだろう。才能の芽を見つけるためだけなら、それでいいのかもしれない。だが、仕事は仕事。ただの才能とは少し異なる。
 
つまり、仕事で「プロになる」ためには、物理的な時間以上に必要なものがあると思うのだ。最近では滅多に評価されることのない、経験、という変数だ。

自分は設備設計を16年やりましたが、自信が持てるようになったのはやっぱり10年くらい経ってからでしたね。

今月からまたやることになった海外支援業務は5年くらいです。 3年半のブランクがありましたが、前回の経験があるので復帰も早かったです。

「カネを貰えばプロ」とか、いろんな定義があると思いますが、あんまりそういうことを考えてもしょうがないですよ。
なった後になってはじめて、「自分は○○のプロ」になっていたと分かるのでしょう。