言うべきことをいって死ね

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そして日本からオトナがいなくなった | プレタポルテ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

平川:本の中でも触れましたが、向田邦子さんが、自分のお父さんについてこんなことを書いているんです。子供の頃、家を訪ねて来た上司に対して、父親が床に額をこすりつけてお礼を言うのを見た。そのときはなぜ父親がそこまでするのかわからなかったんだけれど、ある年齢を過ぎたとき、「なぜ夕飯のとき、父親だけが一品料理が多いのかということがわかった」というんですね。

大人とは何かというのはそういうふうに、ある年齢とか経験を経て、ふとした拍子に「ああ、これが大人になるということなんだな」と気づくものだと思うんです。たとえば、小津安二郎の映画を高校生が観ても理解できないですよね。

小田嶋:小津の映画に出てくるお父さんって、自分のやってることをほとんどまともに説明しないまま死んでいきますからね。小津の映画と対照的なのが「渡る世間は鬼ばかり」なんです。あれは全部、心の中のことまで全部しゃべっちゃいますから。小津は逆に、いちばん大切なことであればあるほど、決して口には出さない。テロップで説明したりはしないんです。

郷愁は分かるが、今の時代は小津じゃダメでしょ?