「ルノーの財布」日産にとっての日本市場とは

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
  • ハッシュタグ:

[遠藤功治]【“ルノーの財布”であり続けるのか?】~大手自動車会社の決算と今後の課題 日産自動車 2~ (Japan In-depth) - Yahoo!ニュース

ご存知の通り、1999年、倒産寸前であった日産はルノーと提携、その際、ルノーから約8,000億円の資金を得て大リストラを敢行、ルノーから送られたゴーン社長のもと、日産リバイバルプランを通して再生を果たしました。この8,000億円という資金はどこから来たのか、大半はフランス政府、元はと言えばフランス人の税金です。よって、まずこの8,000億円を完済することが求められます。原則は配当金による返済となります。現在まで日産は、ルノーに対して、累計で約6,800億円の配当金を支払ったと試算されます。つまりあと1,000億円強で完済する訳です。前述の通り日産の今期の配当予想は一株当たり42円。ルノーに対する今期の配当総額は約700億円ほど、故に、来期2017年3月期には、8,000億円に対する返済という意味では、完済する訳です。
 
筆者が決算指標の他社比較で、配当金を大きく取り上げたのはこの為です。まだまだ業績的には不満の残る水準で、他社と比べても殆どの指標で劣っている日産ですが、こと配当金に関しては断トツにトップであると。これはルノー、しいてはフランス政府に対する返済が、経営の優先順位トップであることを示します。

あのー、8千億円というのは「出資」であって「借金」じゃないので「返済」する必要なんてないですが。
配当金で「完済」したとしても、ルノーの手元には当時よりはるかに株価の上がった日産株が残っているのですから。

もちろんルノーとしてはリスクを取って投資した訳で、「適正な」リターンを得るのは当然のことです。

それを全て完済するのが目先あと少し、この際、出資比率をイコールにするか、ルノーが持ち株会社を作り、その下に日産とルノーを並行に並べるか、様々なオプションがありますが、何らかの変更が必要かと思うのは筆者だけでしょうか。ただ一方で、フランス政府がどのような姿勢なのか。フランス政府が引き続き厳然たる影響力をルノーに持ち続けておきたい、そのためには、出資比率の大きな変更は認めないし、ルノーの筆頭株主としての地位を手放すことはしない。日産に議決権は与えない、云わばルノーにとっての財布としての立ち位置を引き続き求める、ということになるのかもしれません。日産における今後の注目点その1です。

ルノーやフランス政府からしたら、なんでわざわざ植民地を開放する必要があるのでしょう?
日産が独立できないように開発・調達機能を融合させて、今後も従えようとするのは当然のことだと思います。
自主独立の旗を下ろしてルノーに救済を乞うたときから、日産がこうなることは避けられない運命だったように思います。

[遠藤功治]【国内市場は二の次、米中市場最優先のわけ】~大手自動車会社の決算と今後の課題 日産自動車 3~ (Japan In-depth) - Yahoo!ニュース

昨年末にスカイライン、先日にはエクストレイルのハイブリッド車を投入したばかりですが、過去2年間ほど、日産は国内で主力車種の新車投入を行っていません。一方、米国・中国・欧州・新興国では、相次いで新車投入の攻勢を続けています。日本だけが、エアポケットのように、全く新車が無い状況が永く続いている訳です。これでは販売台数が回復しないのは明らかです。国内全体市場が低迷している中で、他社は相次いで新車を投入、日産は相対的に商品力が低下し、益々シェアの低下に苦しむ、という負のスパイラルに陥っているようにも見えます。(中略)
 
ただ経営の合理性から考えると仕方が無い面もあるのでしょう。販売が好調で利益率も高く、市場全体が遥かに大きい米国と中国、ここに優先的に資源を配分するのは当然と言えば当然です。一方で、市場が今後共縮小し続け、MIXも軽自動車や小型車に移行、利益が殆ど見込めない、このような市場に新車を積極的に投入する必然性は無い、マーケティング理論から言えば当然かもしれません。
 
国内工場は限界利益が出る水準を維持出来れば結構、営業利益での貢献は期待しない、赤字が拡大しては困るが、固定費をカバーできうる水準の生産台数を、輸出の力も借りて維持できれば結構、日本市場に科せられた責任と期待は、こんな割り切り方をされていると、少なくとも外部からは伺い知れます。日本人としては寂しい限りですが、グローバル企業の舵取りをする経営陣から見れば、至極当然の結論かもしれません。ゴーン社長はまだ4年ほど、経営トップに君臨します。よほどの外部環境の変化が無い限り、日産における日本の立ち位置に、大きな変化は無いように見えます。間違っていて欲しいと思うのは日本人だけでしょう。

そんなものでしょうね。 日産の経営陣には日本市場は「終わった市場」に見えてるのだと思います。