野党がとるべき安保法制の国会戦術

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野党にとって安保法制の「落としどころ」はどこか(上)|上久保誠人のクリティカル・アナリティクス|ダイヤモンド・オンライン

だからこそ、野党政治家や反対派は本気で「廃案」を勝ち取ろうとしてはいけない。繰り返すが、一番いけないのは、廃案を勝ち取れず、法律が成立した時、「敗北感」「無力感」を持ち、意気消沈してしまうことだ。それが安倍首相の狙いであることを、野党・反対派はよく理解しなければいけない。
 
換言すれば、安保法案の国会審議において考えるべきは、「法律は必ず成立してしまう」という前提で、野党がなにを勝ち取れるかだ。その際に参考になるのは、「55年体制下」の国会対策ではないだろうか。(中略)
 
「55年体制下」の国会戦略から、野党が教訓を得られるとすれば、「政府・与党がいかに国民の大反対を押し切って、国民を戦争に巻き込む法律を強引に通したか、それがどれほど『横暴』」なことかというイメージをべったりと国民に貼り付け、安倍内閣の支持率を劇的に下落させ、次期選挙で自民党を敗北に追い込むか」という戦術を考えることだろう。

党利党略を追求する戦術としては正しいのかもしれないけど、無党派層はそういう無責任な野党のやり方に辟易していると思うんだけどな。

野党にとって安保法制の「落としどころ」はどこか(下)|上久保誠人のクリティカル・アナリティクス|ダイヤモンド・オンライン

だが、繰り返すが、維新は安保法案の「対案」を出すべきではないし、「法案修正協議」にも応じるべきではない。与党と協議し、なんらかの合意をしても、政府が安保法案成立に成功したという事実が残るだけである。逆に、野党の成果には絶対にならない。野党を支持する安保法案反対の国民が望むのは、あくまで「廃案」だからだ。法案を修正して通すことは敗北そのものである。野党とその支持者に決定的な「挫折感」を味あわせることになるだけなのである。
 
維新や民主党の党内には、いろんな考え方の議員がいることは事実だ。安保法案は「違憲」というほどではなく、さまざまな問題点を修正して通せばいいと考える議員もいる。だが、彼らは「安倍政権を助けなくても、どうせこの法案はいずれ通る」ということを認識すべきだろう。維新や民主党の党内で自説を展開して、党内路線対立を顕在化させるのは、ただの「自滅」なのである。
 
今は、自説を抑えておき、「安保法案には反対ではないが、安倍政権での実現は容認できない」という姿勢に徹すればいい。まずは安倍政権を退陣に追い込んだ後に、改めて自説に基づいて修正に着手すればいいではないか。たとえ野党の内部は「同床異夢」であって、とにかく一致団結して、いかに「与党の横暴」を印象付けて、どうやって安倍内閣の支持率を落とすかを考えることが大事だ。

修正しなくてもそのまま安保法案は可決成立するので、法案反対の国民が「挫折感」を味あうことは変わらない。 与党への不満が野党への支持につながるかどうかも定かではないです。

そもそも「安保法案には反対ではないが、安倍政権での実現は容認できない」なんて訳の分からない理屈が通用すると思っているのが間違いなんだよね。