マツダには「不正を行う動機がない」?

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VWディーゼル排ガス問題 マツダの「不正ない」公式声明を検証する (THE PAGE) - Yahoo!ニュース BUSINESS

ドイツで行われた不正のメカニズムと対象エンジンについては、依然詳細が発表されていない。だが、同社のドイツ国内の販売台数は年間約120万台程度。さらにEU全体のディーゼル比率は約半分と言われている点から見ると、280万台という台数はおおよそ5年分に相当する。もちろんこの数値は概算である上、この中で特定エンジンだけが不正をしていたならば計算は違ってくる。
 
フォルクスワーゲンは2009年から、ディーゼルエンジンを旧世代のユーロ5準拠のEA189型からユーロ6準拠の新世代EA288型に移行しており、台数で見ると上記の計算方法で推定されるEA288型のボリュームはドブリント運輸相がアナウンスした280万台とおおよそ合致するのである。

ドイツ国内で280万台」の内訳についての推定ですが、北米で問題になったのはEA189型エンジンだよね? 2009年からEURO6対応のEA288型が使えたのだとしたら、なぜ北米にそれを導入しなかったんだろう?

で、マツダですが、

さて、世界中の排ガス規制のどれであれ、不正な手段でパスしようと思えばできないことではない。仮にマツダが、燃焼そのものでNOxを処理し切れず、違法ソフトを使って不正な結果を出そうとした時、何ができるだろうか?
 
燃焼速度を遅くしようと思えば、EGR量を増やすか噴射タイミングを遅くすればいい。燃焼温度を下げようと思えばEGR量を増やせばいい。パワーダウンを受け入れればできないことはないが、そこで不正をするくらいなら圧縮比を下げてパワーで不利な設計をしている意味がない。もう一つ燃料を濃くすれば燃焼温度は下がるが燃費が悪化し、PMが大変なことになる。
 
要するに、後処理装置を持たないマツダのディーゼルエンジンでは、NOx吸蔵触媒の加温と尿素SCRの噴射量を増やすという最も簡単で効果がある方法が使えない。構造上、不正がしにくいシステムなのだ。

そうかな? EGRを増やせばNOx減るんでしょ?
NOx後処理装置を持たないSKYACTIV-Dで規制をクリアするために、モード試験中と判断したときだけEGRをさらに増やしてNOxを基準値内に収める、という動機を持つのは考えられなくもないです。
マツダがそんなことをするとは思わないですがね。

ところでマツダが北米でSKYACTIV-Dを発売していない理由についてですが、

ちなみに、この事件が発覚して以降、Tier2 Bin5の規制について、あちこちで絶対数値のみが取り上げられているが、Tier2 Bin5の本当の厳しさはその数値ではなく、むしろエンジンの運転状況をより厳しくした場合の排ガス数値を求められる点だ。例えば、エンジンが冷えている状態からの急加速などは、NOxをコントロールするのが難しいし、新車時だけでなくクルマのライフタイムでの環境対策を図るため12万マイル(約20万キロ)走行後の数値で測定される。ユーロ5はそういう運転モードが緩かったのである。
 
「NOxについて後処理なし規制適合をさせる見通し立っているが、走りの性能や燃費を犠牲にし過ぎないためには、更なる開発が必要だ」というマツダのステートメントからは、世界で最も圧縮比の低いディーゼルエンジンというアプローチによって、パワーを我慢してNOxを制御したエンジンを、さらにパワーダウンさせるわけにはいかないという苦しさが見えてくる。

でもNOx吸蔵触媒も尿素SCR還元装置も使っていないのなら、12万マイル使用経過時に劣化する心配もないはずだよね?
「パワーがないディーゼル」が北米市場でウケないというのはありそうだけど、それだけの理由かしらん?

マツダに試練、ディーゼル米国投入計画に影響も-VW排ガス不正問題 (Bloomberg) - Yahoo!ニュース BUSINESS

自動車調査会社TIWの高田悟アナリストは、VW不正問題を受けて米国でディーゼル車市場が縮小したり、環境規制が厳格化されることも想定した上で、マツダのディーゼル車の米国市場参入予定に「遅れが出る可能性は考えられる」と指摘した。マツダ広報担当の寺島倫子氏はVW問題の影響で開発計画を変えることはなく、「安心できる技術が開発でき次第、お客様にお届けする予定」だと電話取材に述べた。明確な時期は設定していないという。(中略)
 
調査会社オートパシフィックのアナリスト、デイブ・サリバン氏は、マツダがディーゼルを米国投入する必要性に疑問を感じている。「マツダのガソリンエンジン技術は非常に優れているし、ディーゼルエンジンでなければいけない大型車を展開しているわけではない」と述べた上で、「ディーゼル投入のための開発コストを正当化できる理由が見当たらない」という見解を示した。

Tier2Bin5がクリアできていて、あとは認証の問題だけならコストはそんなに掛からないと思うけどね。