ホンダ、来期は「地力」が試される年に

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ホンダ、「シビック・ショック」癒えるか :記者の目 :企業 :マーケット :日本経済新聞

12年3月期はリーマン・ショックが起きた09年3月期以来の厳しい決算となりそう。世界販売台数は前期実績比10%減の315万台と8年ぶりの低水準に沈む。東日本大震災では部品調達の正常化が日産自動車などに比べ遅れ、タイ洪水では国内自動車メーカーで唯一、浸水の直接被害を受けた。タイ工場はいまも操業を止めたままだ。今期は試練に次ぐ試練に直面した年として、ホンダ関係者の記憶に深く刻まれるに違いない。
 
ホンダ経営陣が描くのは来期のV字回復だ。「(震災前の)成長路線に復帰する」「新しい技術が花開くと信じている」――。決算会見で今後の見通しを繰り返し問われた池専務は、13年3月期からの反転攻勢に自信を示した。伊東孝紳社長が一部メディアで語った「来期は過去最多となる400万台以上の販売を目指す」という発言を追認。「来期予算を策定中で正確な数字はない」としつつも「その社長の気持ちというか、400万台を超える水準を目指していきたい」と述べた。(中略)
 
年間400万台とすると四半期当たり100万台。12年1~3月期の販売計画がちょうど100万台なので、今回示した業績見通しが今後の業績を占ううえで参考になりそう。会社公表の1~3月期の営業利益見通しは約800億円。ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太ヴァイス・プレジデントはタイ洪水のマイナス影響を足し戻したり、季節要因を考慮したりすることで、ホンダが四半期に稼ぐ力を営業利益ベースで1300億~1400億円とはじく。年換算すると5200億~5600億円。11年3月期実績(5697億円)に迫る利益水準だ。

全世界の生産能力は450万台あるので、タイの20万台+周辺国の生産減があっても、400万台は作れます。

問題は商品力ですね。

だが、V字回復の実現にはいくつものハードルがある。業界の台風の目となっている韓国・現代自動車が近くSUV「サンタフェ」を全面改良するとの見方が浮上しており、CR―Vにとって強力なライバルとなる可能性がある。ホンダが秋に全面改良する主力セダン「アコード」の成否はホンダの業績の行方を大きく左右するだろう。中国では12年に前年比2割増の75万台の販売を目指すとしているが、現地市場で快走する日産などに比べ、勢いに欠ける点は否めない。
 
欧州債務危機という大きな不安要素も横たわる。米国やアジアの新興国の実体経済に影響が及ぶようだと、400万台超の新車販売は“絵に描いたモチ”に終わりかねない。
 
タイ工場は3月末をメドに復旧する見通しで、米の流通在庫も55~60日分の適正水準に戻る見通し。ホンダは目立ったハンディなしに13年3月期を迎える。もう「震災」や「洪水」は言い訳にならない。ホンダの地力が試される。

欧州市場への依存度は低いですが、世界経済への影響が及ぶと確かに心配です。 それでも同業他社よりはマシかもしれません。
中国市場は減速して2ケタ成長に届かないかもしれないので、その状況で2割増というのはむしろ野心的とも言えます。


「軽」がホンダを変える、クルマ作りを抜本改革 | 企業戦略 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン

開発体制もグローバルモデル重視型だった。栃木県にある本田技術研究所の開発センターに開発を集中。その特徴は一言で言うと「箱単位」。開発チームは1車種ごとで独自性が強く、横の連携は少ない。チームもその車の開発が終われば解散する。1車種を徹底的に作り込むことで、グローバルで競争力を持つ車作りを行ってきた。
 
しかし近年、これらの強みが弱みに変わりつつある。世界で多様化するニーズに応えられなくなっているのだ。開発が栃木に一極集中するため、どうしても対応が一歩遅れる。
 
特に弊害の出ているのが、新興国市場。新興国では、品質は中庸でもより廉価な商品が好まれる。先進国の商品をそのまま持ち込んでももはや通用しない。現在新興国市場は世界のおよそ半分を占めるまでに成長しているが、ホンダの世界販売台数に占める新興国の比率は約37%。一方、ライバルの日産自動車のそれは約5割だ(図)。
 
生産面での現地化はホンダも確かに進んでいる。だが、開発の現地化はライバルに比べ明らかに遅れた。日本での軽の苦戦もこの構造と根っこでつながっている。世界で売れる車作りを優先するあまり、日本独自規格である軽の開発が後手に回ったことが大きい。

なるほど。 面白い指摘ですね。

N BOXは一つの“箱”では終わらない。同車のエンジンやCVT(無段変速機)、トランスミッションなどはすべて新開発だが、ホンダは今後このプラットフォームを用いた軽を「Nシリーズ」として売り出す。今年春に車中泊もできる趣味性を高めた新型車、今年後半にはセダンタイプの投入も決まっている。
 
軽は国内専用で量が出ない。だからこそ、プラットホームを共通化する。部品調達先(サプライヤー)とは、3~4車種のボリュームを前提に取引できる。「今後は“箱単位”の開発から、戦略的にプラットホームを活用していく」(松本統括)。
 
シリーズ化を可能にするには、プラットホームそのものに競争力が必要になる。浅木研究員は「このプラットホームには数年間、時間がある」と表現する。燃料タンクを前席下に配置する独自の「センタータンクレイアウト」に加え、N BOXではエンジンルームを小型化し、アクセルペダルを通常より70ミリメートル前に出して、室内空間を最大化した。「タイヤの直径を考えればこれ以上前には出せない」(同)。現在の軽の規格が続くかぎり、競合他社がこれ以上室内空間を広くすることは難しい。

何を当たり前のことをという感じですが、ホンダの場合は同じプラットホームといっても、シビックとストリームとステップワゴンとCR-Vでは全然違ったりしますからね。

もう一つ、鈴鹿で取り組むことがある。開発部隊と生産部隊の連携だ。現在ホンダでは開発の栃木一極集中を改め、鈴鹿に開発部隊が常駐する体制を検討している。(中略)
 
ホンダは海外の開発体制強化を急いでおり、その雛型を鈴鹿に作ろうとしているのだ。鈴鹿に常駐する開発部隊の規模や時期は未定だが、将来的にはプラットホームを栃木で造り、車体や内外装などアッパーボディを海外の開発拠点に委ねることも想定している。
 
「各地域が自主的に事業を回せるようにする。まず鈴鹿でその仕組みを確立する」(松本統括)。N BOXでは、開発段階で造る試作金型を減らし、開発費を従来比2~3割レベルで削減した。軽を収益事業に転換させ、日本だけで自立できる体制を作る。それを成し遂げたうえでホンダは、N BOXの取り組みを海外拠点、特に新興国へ順次波及させようとしている。

寄居もライン1本なら、開発部隊が常駐する余裕はあるでしょう。 狭山の跡地に研究所を持って来ることも出来るだろうし。