取り合い部の気密・断熱

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ここが大事“取り合い部” | 第8回 取り合い部の設計、施工 | 最新 高断熱住宅の基礎知識 | エコ | すむすむ | パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 | Panasonic

木造軸組構法の外壁及び間仕切り壁上下端部では、通常、何の対策も施さないと壁の内部の空間が床下と小屋裏等の空間がつながっています(図2参照)。このままでは、外気が床下から壁内に侵入し、小屋裏に抜け出るという空気の流れが形成されます。この空気の流れは暖房すると温まり、冷たい外気との温度差で更に流れを成長させます(この現象を‘煙突効果’といいます)。この気流は断熱施工された状態でも生じ、壁体の断熱性能を低下させ、また天井ふところ、小屋裏空間の通気量を想定以上に増大させます。これが、住宅の断熱性能を低下させる大きな原因となり、せっかく良い断熱材を使っても、その効果が低減してしまいます。
 
そこで、床下~壁内、壁内~小屋裏の間の空気の移動を防ぐために施す措置を“気流止め”といい、壁と天井、壁と床の取り合いの部分で行います。
 
気流止めは、従来は被覆材なしの繊維系断熱材を詰め込むなどの方法が行われていましたが、これでは不完全なので、気密材で行うことが望まれます(図4及び第2回p1図3参照)。

この「すむすむ」というサイトは住宅についてすごく勉強になりますね。 もし家を建てる前にこんなサイトを読んでいたら、かなり違った結果になったかもしれません。

住宅メーカーや工務店、建材メーカーだと、どうしても自前の商品や技術が優れているという主張が全面に出てきます。 とくに断熱方法などは、神学論争になりがちです。
「すむすむ」もパナソニックですが、かなり客観的に説明されているので、抵抗感なく読めます(かなり専門的な説明もありますが)。

もっとも、「第10回 高断熱住宅の暖房」では、暖房方法としてエアコンをイチ押ししているところをみると、我田引水が全くないとは言えないでしょうが(外気温が5℃以下だとエアコン暖房はキツイと思うよ)。

断熱で変わる暖房方法 | 第10回 高断熱住宅の暖房 | 最新 高断熱住宅の基礎知識 | エコ | すむすむ | パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 | Panasonic

図3の暖房のイメージ調査では、エアコンは「暖まり具合がよくない」「足元が暖まらない・暖まりづらい」暖房として多くの人がイメージしています。
 
しかし図6では、エアコンはガスファンヒーターよりも、上下温度差が小さく、水平温度差も小さい結果が得られています。上下温度差が小さいということは、足元が暖まらないとは言い切れません。水平温度差が小さいということは、暖まり具合がよくないとは言い切れないでしょう。逆に暖房のイメージ調査で高評価を得ていたファンヒーターですが、エアコンよりも上下、水平共に温度差が大きい結果になっています。意外かも知れませんが、ガスファンヒーターの吹出温度は高くて上昇気流になりやすく、吹出気流が部屋に行き渡る前に天井付近に上昇してしまいがちです。
 
床暖房の温度差の少なさは、まさに脅威です。この均一な温度分布の為に床暖房は快適と言われるのですが、その快適さを得る為に多くのエネルギーを消費する事は、「(1)省エネ性」でお判りかと思います。(中略)
 
図3の暖房のイメージでは、エアコンは「即効性(暖まる速さ)に欠ける」の質問で最も悪い評価の暖房でした。しかし、実情はファンヒーターと変わらぬ速さです。ここでも、エアコンの暖房性能を間違ってイメージしていることがわかります。

いくら「データではこうだ」と言っても、体感では違うということじゃないのかな? それはエアコン暖房が「対流」(それもファンヒーターよりもヌルい)によるもので、ストーブの「輻射」や床暖房の「伝導」の直接的な暖かさに比べると、印象が薄くなるのは仕方ないでしょう。


それはさておき、例の間仕切り壁と小屋裏がツーツーになっている件ですが、天井断熱の場合はやはりあそこ(取り合い部)は気密されているべきなんですね。
「煙突効果」があった方が、むしろ良いのかとも思ったのですが。

ちなみにサイディング外壁に使われる外壁通気工法では、サイディング下縁の胴縁から入った空気が軒下に抜けるようになっていて、ここはまさに「煙突効果」が使われています。


それにしても、新築時に高断熱・高気密の家にすると、どれくらいコストアップするんでしょうね?

もちろん新しい技術や建材を使用することで、コスト増にならないで性能が向上されることも多いのでしょうが、実際は細かいところまで丁寧に施工(=コストアップ)してあるかどうかで、かなり変わってくるように思います。

我が家の電気と灯油代は、平均して年間19万円程度です。 10年で190万円ですね。 断熱などで10%節約できたとして19万円。 30年住んで57万円。
実際の省エネ効果はもっと高いのかもしれませんが、それでも許容できるコストアップは100万円以下じゃないでしょうか(必ずしも元は取れなくても快適性が高ければOKという考え方もありますが)。

基本構造や建材がしっかりしていないとどうしようもないですが、あまり細かいところまでこだわり過ぎるのも費用対効果が悪そうです。
あとはD.I.Y.や暮らしの工夫で補うのが良いのかもしれません。