Volumio2をAVアンプにつなげてみる

DH790にはWiFiや有線LAN端子はありませんが、Bluetooth機能はあります。

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試しにスマホ(LGV35)から接続してみたのですが、音質はイマイチ...
「Hi-Res Audio」シールが貼ってあるけれど、AVアンプの音質ってこんなもの?

実はDH790(2018年発売)のBTはプロファイルがSBCとAACのみで、LDACには対応していません。
2015年発売のDN1060はLDACに対応しているのにね。 こういうところが値段の差かな?

テレビとオーディオでは要求される音質は異なるのだけど、オーディオとしてみた場合にどれくらいの実力があるのか確認してみたい。
USBメモリに楽曲データを入れてやれば再生できるようですが、Raspberry Pi3 model Bが1台余っているので、Volumio2を入れて接続してみます。


Volumio2の最新版をインストールして、ハタと気が付いたのは「AVアンプとの接続をどうしよう?」。

通常Volumio2の出力は、USB経由で外部DACに出力するか、I2S接続のDACドーターボードからアナログ出力するかです。
DH790にはUSB入力はありません。 アナログ音声入力ならありますし、外部DACもDACドーターボードもどちらも持ってますが、AVアンプとしての音質を評価するのにアナログ入力はなんか違う気がする。

DH790の取説を読んでみると、光デジタル入力はARC機能を持たないテレビとの接続専用みたい。
一方で同軸デジタル入力は、SACDなどからの入力を想定しているようです。 ただRaspberry Pi3から同軸デジタル出力をするには、I2S接続のSPDIFドーターボードが必要になります。

でも... なんかコレジャナイ感が否めません。

ところでRaspberry Pi3にはアナログ出力(ミニジャック)とHDMI出力があります。 DH790はAVアンプなので、もちろんHDMI入力を4系統持っていて、まだ2系統余っています。
だったらHDMIで接続すればいいんじゃね?

でもHDMIの音声出力って、そもそもどういう規格なの?

本田雅一のAV Trends

HDMIが一般的なデジタル音声インターフェイス(S/PDIFなど)や、アナログ音声/映像と異なる点は、ケーブルを通じて“信号”を直接送る仕組みではなく、データ通信を通じて信号を送信しているという点だ。両者はよく似ているが、実際には異なる意味がある。
 
S/PDIFでやり取りされる信号は、信号のタイミングから波形までが品質と密接な関係がある。GND(グランド)にノイズが混入したり、波形に乱れが出れば、最終的なD/A変換時にジッタとなって出力波形を歪ませるし、振動による電気伝導度の影響も受ける。一般にTOS-Linkによる光と同軸ケーブルによる電気的な伝導では、前者の方が一桁程度、ジッタが多くなるなど、メディア変換による影響が少なくない。
 
このため、S/PDIFを用いたデジタル接続は、ケーブルや端子そのもの質、光の場合は光メディアインターフェイス自身の質や光ファイバー、同軸の場合はケーブルの動的なインピーダンス特性、シールド、インピーダンス特性などが、直接音質に影響する。よって、オーディオ経験の長い方ならば、比較的、どのような振る舞いが起きるのかは推測しやすい。
 
しかし、HDMIは違う。HDMIはGbpsオーダーの高速通信を行うシリアル通信インターフェイスを束ねる形で実装されており、データフレーム(パケットのようなもの)に映像や音声、制御信号などをひとまとめに収めてを送信する。送信するのは、あくまでもデータであって、それがそのまま映像や音声の信号として扱われるわけではない。また、多くの場合は暗号化もされている。
 
HDMIの送信機(トランスミッタ)をTX、受信機(レシーバ)をRXと言うが、RXはTXから送られてきたデータフレームの暗号化を解き、その中のデータを映像や音声などに振り分け、データフレームに書かれた内容に応じてデジタルの映像信号や音声信号をRX内部で“生成”している。つまり、映像や音声の信号を作り出しているのは送り出し側(プレーヤーやレコーダ)ではなく、受信側(AVアンプやディスプレイ)のRXだ。

音声もデジタルで送られるけど、生の信号が送られるわけではないということかな?

【本田雅一のAVTrends】HDMIの音質改善手法に見る問題点と希望の光 - AV Watch

HDMIは、パソコン用デジタルディスプレイをデジタルリンクさせる規格を開発するために組織されたDDWGという業界団体が開発したリンクをベースに作られたDVIが元だ。DVIはAV機器向けにプロトコルや端子仕様などをアレンジしたHDMIに発展し、この時に音声を同時送信できるよう仕様追加を行なっている。このため、オーディオ信号用の同期信号さえ通っておらず、同期ズレが必ず発生してしまうビデオクロックに合わせてオーディオ信号を同期させる、やや無理のある仕様になっている。
 
当時、HDMIの策定に関わっていた元シリコンイメージの技術者に数年前伺った話だが、技術者は皆、映像の事しか意識しておらず、デジタル伝送のプロトコルが音質に影響を与えるなど、よもや想像していなかったと言っていた。

ふむふむ。 ディスプレイ屋さんは映像がメインだから、音声が二の次になったというのはありうる話だよね。
ただまあ「AVアンプの音質をチェックする」というという意味では、HDMIから入力されたもので確認するのが妥当な気がするな。 Raspberry PiとHDMIケーブルさえあればOKだし。

ラズパイ・オーディオの “HDMI経由” でハイレゾ/マルチ再生環境を構築(前編) - PHILE WEB

HDMI経由での音声出力は以前から可能だが、現行Linuxカーネル/ALSAには制約がある。HDMIで出力する場合、信号を受信する機器のスペックに関係なく、48kHz/16bitにダウンサンプリングする仕様なのだ。最大8chのマルチチャンネル再生に対応するが、やはり上限は48kHz/16bit。これでは、音源の価値が大きく損なわれてしまう。

自分が持っている楽曲データはすべてCD(44.1kHz/16bit)からリッピングしたものなので大丈夫、かな? 無駄に48kHzへアップサンプリングとかしてないよね?

ケースがどこへ行ったか見つからないので、とりあえず裸で接続してみます。

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嫁が風呂に入っている間に、試しに鳴らしてみました。

音に破綻はないですが、とっても薄味です。 趣味のサウンドではなく、音に芯がないような、いかにもテレビ音声用って感じですね。 音楽に向き合って聴くなら、5千円の中華アンプの方が楽しめると思います。
でもBGM的に音楽を鳴らしたいなら、これで十分というかこれぐらい”減塩”されていた方が邪魔にならなくていいのかもしれません。

同じ筐体を使っている STR-DH190が実売1.65万円なんで、DH790の半額です。 ステレオプリメインアンプとしてのDH790の実力は、(信号干渉などの悪影響を考えると)DH190と同等以下だと思います。

じゃあSTR-DN1080なら満足できたのか?というと、そんなに劇的な変化はなかっただろうと思います。

AVアンプで、オーディオ用プリメインアンプとして満足できる音を出そうと思うなら、12~15万円くらい出さないと難しいのではないかと思いますね。
それもあって最初は「古い高級AVアンプ」の導入を考えたのですが、やっぱりこれからは 4K & Dolby Atmos 対応じゃないとね。

SONYはこのクラスの製品を出していませんが、ヤマハでいえば AVENTAGE RX-A1080とか RX-A2080ぐらいじゃないと満足できないかな。
でも機能の陳腐化が早いAVアンプにそこまで投資を掛けられるのは、プロジェクター入れてるようなゴリゴリのAVマニアだけじゃないかと思います。

とりえあず(今は)DH790に不満はありません。 今後4K液晶TVに買い替えても、活躍し続けていってくれると思います。